砂漠緑化団体 地球緑化クラブ
当団体の目指す活動
気候条件や地理条件により砂漠緑化の戦略は違ってくる。この戦略を誤ると、緑化資材を無駄にしてしまうばかりか、地元住民の強い反感を買う事に繋がってしまう。 ここでは地理条件(気候条件)を半砂漠と流動砂丘の2つにわけ、それぞれの地で行なう当団体活動の基本戦略を紹介する。 これを基本に、それぞの活動地での緑化方針や計画がたてられる。ただし、ここに記載している内容は、本当にごく一部の内容にすぎない。砂漠緑化を進めていく為には、更に深い部分での計画や方針があることをご理解頂きたい。
<農地としての緑化、開発>
はじめにお断りとして、ここでいう「半砂漠とは」一般的な気候部分での区別ではなく、砂漠化の恐れがある地域、砂漠化の兆候が見え始めた地域、流動砂丘に隣接する地域などを指す。 半砂漠の土地でも農業は盛んに行われてる。私達が緑化活動を行なっている達拉特旗(ダラトキ)での一般的な農業は、広大な土地に飼料用のトウモロコシ、コムギ、コウリャン、油用のヒマワリなどの栽である。しかし、どの作物も大変安値で、唯一高く売れるコムギも水を比較的多く使うため栽培できる地域が限られる。したがって、農業を行っている人々も「豊か」といえる生活とは程遠い暮らしを強いられている。 では、どうすれば彼らを豊かにし、そして同時に緑化をすることができるのだろうか。ここでのポイントは、「いかに今まで現地で行われてきた農業の技術を生かせるか」だ。新しい最先端の技術を導入しても、現地の人々はついてこれない。たとえついてこれたとしても、機械が故障したり資材が不足したりすれば、彼らの力ではどうにもできなくなってしまう。明治時代にパソコンを持っていくようなことはしないほうがいいということだ。私達は例えば飼料用トウモロコシをスイートコーンに変えるなど、今までの技術そのままで、作る品種だけを変えればいいのでは?と考えている。実際現地でスイートコーンの栽培を行ったところまったく問題なく、しかも日本で作るよりも味の良いものができた。 また、簡単な温室を建てることにより冬場の仕事が確保できる。今までは、冬は-30℃近くまで気温が下がるため放牧以外の仕事はできずにいた。しかし、温室を建設することにより、冬場の仕事が可能になる。春先には温室で苗を作ることにより、より良い状態でしかも早く畑の仕事に移ることができる。さらにトウモロコシの茎を細かく粉砕したものをポット詰めし、キノコの菌を植え付ければ今までなかった産業がおこる。また、キノコの菌によって分解された菌床は畑の有機肥料として利用可能だ。キノコ栽培もヒラタケで実験を行なったところ問題なく発生させることができた。施設や道具も現地のものだけで行っているので現実的に見ても実用化は難しくない。このように、貴重な有機物を無駄なく利用することは、砂漠緑化だけに限らず農業をはじめ、生活していくうえでとても大切ではないだろうか。 灌漑ができるような比較的条件の良い地域は、果樹園をつくることも可能だ。しかし半砂漠という乾燥の激しい気候を考えると、栽培できる果樹は限定される。また、こういった地域で栽培できる果樹は、比較的容易に栽培できるものが多いため、大変安値でしか取り引きができない。しかしながら砂漠という農薬や化学肥料などにより汚染されていないという特性を逆に生かせば、他の地域で栽培されるものより希少価値が生まれる。肥料は下に紹介する方法で羊の「フン」が有効だ。果樹を植えることはそれだけでも十分「緑化」の役割を果たす。
砂漠緑化団体 地球緑化クラブ
当団体の目指す活動
気候条件や地理条件により砂漠緑化の戦略は違ってくる。この戦略を誤ると、緑化資材を無駄にしてしまうばかりか、地元住民の強い反感を買う事に繋がってしまう。 ここでは地理条件(気候条件)を半砂漠と流動砂丘の2つにわけ、それぞれの地で行なう当団体活動の基本戦略を紹介する。 これを基本に、それぞの活動地での緑化方針や計画がたてられる。ただし、ここに記載している内容は、本当にごく一部の内容にすぎない。砂漠緑化を進めていく為には、更に深い部分での計画や方針があることをご理解頂きたい。
<農地としての緑化、開発>
はじめにお断りとして、ここでいう「半砂漠とは」一般的な気候部分での区別ではなく、砂漠化の恐れがある地域、砂漠化の兆候が見え始めた地域、流動砂丘に隣接する地域などを指す。 半砂漠の土地でも農業は盛んに行われてる。私達が緑化活動を行なっている達拉特旗(ダラトキ)での一般的な農業は、広大な土地に飼料用のトウモロコシ、コムギ、コウリャン、油用のヒマワリなどの栽である。しかし、どの作物も大変安値で、唯一高く売れるコムギも水を比較的多く使うため栽培できる地域が限られる。したがって、農業を行っている人々も「豊か」といえる生活とは程遠い暮らしを強いられている。 では、どうすれば彼らを豊かにし、そして同時に緑化をすることができるのだろうか。ここでのポイントは、「いかに今まで現地で行われてきた農業の技術を生かせるか」だ。新しい最先端の技術を導入しても、現地の人々はついてこれない。たとえついてこれたとしても、機械が故障したり資材が不足したりすれば、彼らの力ではどうにもできなくなってしまう。明治時代にパソコンを持っていくようなことはしないほうがいいということだ。私達は例えば飼料用トウモロコシをスイートコーンに変えるなど、今までの技術そのままで、作る品種だけを変えればいいのでは?と考えている。実際現地でスイートコーンの栽培を行ったところまったく問題なく、しかも日本で作るよりも味の良いものができた。 また、簡単な温室を建てることにより冬場の仕事が確保できる。今までは、冬は-30℃近くまで気温が下がるため放牧以外の仕事はできずにいた。しかし、温室を建設することにより、冬場の仕事が可能になる。春先には温室で苗を作ることにより、より良い状態でしかも早く畑の仕事に移ることができる。さらにトウモロコシの茎を細かく粉砕したものをポット詰めし、キノコの菌を植え付ければ今までなかった産業がおこる。また、キノコの菌によって分解された菌床は畑の有機肥料として利用可能だ。キノコ栽培もヒラタケで実験を行なったところ問題なく発生させることができた。施設や道具も現地のものだけで行っているので現実的に見ても実用化は難しくない。このように、貴重な有機物を無駄なく利用することは、砂漠緑化だけに限らず農業をはじめ、生活していくうえでとても大切ではないだろうか。 灌漑ができるような比較的条件の良い地域は、果樹園をつくることも可能だ。しかし半砂漠という乾燥の激しい気候を考えると、栽培できる果樹は限定される。また、こういった地域で栽培できる果樹は、比較的容易に栽培できるものが多いため、大変安値でしか取り引きができない。しかしながら砂漠という農薬や化学肥料などにより汚染されていないという特性を逆に生かせば、他の地域で栽培されるものより希少価値が生まれる。肥料は下に紹介する方法で羊の「フン」が有効だ。果樹を植えることはそれだけでも十分「緑化」の役割を果たす。 また、こういった畑の周りに防風林を作成すれば、更に緑化としての効果は増す。様々な利用方法が考えられる土地は「森」をつくる事より、生産性のある緑化を根付かせる必要がある。私達は半砂漠での植林は道路や畑などの防風林をつくる程度で十分であると考えている。畑や住宅を守る防風林であれば、地元の人々もきっと喜んでくれるはずだ。
<牧場としての緑化、開発>
半砂漠地帯では主に放牧が行われてきた。しかし、年々家畜の数は増え、今では過放牧となり草が食い尽くされ、砂漠化が急激に進んでいる(「 カシミヤ産業と砂漠化の密接な関係 」参照)。このままでは家畜を飼うことができなくなり、現地の人々の生活はますます貧しくなるだろう。かといって放牧を全面的に禁止するわけには当然いかない。放牧できる頭数を制限することがまず必要だが、これだけでは現地の人々の生活は貧しくなってしまう。 このような地域では牧草を育て、草原の回復を図ることも必要になる。草原は砂漠化する以前の自然環境に近い形態だ。自然環境を考えた上でも、草原化させることはこういった地域に適していると言える。牧草の栽培と牧畜のバランスを上手にとることができれば、家畜の頭数を増やすことも可能だ。つまり牧民達が豊かになれる可能性も十分にあるということだ。砂漠化には貧困という問題も抱えている。この貧困対策にも草原回復は一役買うことができる。
また、マメ科の牧草を用いれば、土壌改良も同時に行なうことができる。マメ科の植物は根に根粒菌を持ち空中窒素を固定化させる働きがある。土壌が肥えてくれば、また新たな植物が栽培できるようになる。潅木や草はポプラなどの高木と違い種での繁殖が容易である。つまり一度根付かせてさえしまえば、自然の力で緑が広がっていく。自然が手助けをしてくれれば、牧民などの負担も軽減できる。 そして、私達が注目しているのは家畜の「フン」である。家畜小屋にたまったフンはとても優れた肥料といえる。これを畑に入れることにより有機物の再利用ができ、さらにより多くの作物が栽培できるようになる。有機物の利用を考えたとき、そのサイクルを保つことはとても重要になる。生産物を出荷するばかりだと、消費地ばかりに有機物が集まり、生産地の有機物は減少していくことになる。これを補うために化学肥料が登場するわけだが、これに対する害は皆さんご承知のとおりだ。有機物のサイクルを乱さないためにも、人や家畜の排泄物を有効に利用することはとても重要である。
<草原回復>
流動砂丘を緑化していくのは大変なことだ。しかし、自然の力を利用すれば労力は半分以下になる。庫布其(クブチ)沙漠周辺は強い北西の季節風が年間を通して吹く。この影響で砂漠は西から東へ広がっていく。北西風は4月頃が最も強く、砂漠の砂は偏西風に乗り黄砂として日本までやってくる。クブチ砂漠などはこの北西風により広がっていくが、逆にこの風を利用して緑を効率よく広げていこう、というのが私たちの緑化方法だ。 砂丘は北西風により波のような形で西から東へ移動する。そして、こうして形成される砂丘は、「砂丘の西斜面は常に表面の乾いた砂が飛ばされているので地下水位が高くなだらかな斜面になり、東斜面は常に乾いた砂がかぶるので地下水位は大変低く急な斜面になる」といった特徴がある。 流動砂丘は気候(少雨・乾燥など)、地域産業などを考えると元ある草原を回復させることが最適と思われる。しかしながら流動砂丘の名のとおり、砂は風により移動する。この移動により植物を植えても根が露出し倒れてしまったり、逆に砂に埋もれるなどしてしまう。植生が回復すれば、砂の移動はかなり抑えることができるが、それまでにはある程度の期間が必要となる。そうなる前に多くの場合が倒れたり埋もれたりしてしまう。ポプラなどの高木を植えることにより、それが防波堤となり砂の移動をとめ、木が風を抑えるため砂も舞い上がりにくいと考える人もいるようだが、これは間違いである。ポプラでも砂の移動には勝てない。木自身で砂を食い止めることは難しく、やはり砂に埋もれるなどしてしまう。 これらの事情を考えると、緑化の前に治砂が必要であることは明白だ。では植生が回復するまで、どのように砂を収めるのか。この技術に「草方格」というものがある。草方格は麦わらなどの草や潅木を碁盤の目状に地中に挿すことで、砂の移動を抑える砂防工だ(詳しくは こちら )。草方格の治砂効果は絶大で、施工した場所の砂の移動はほぼ完璧に抑えることができる。しかしながら弱点もある。それは風化が早いという点だ。私達の経験でいうと、麦わらを利用して施工した場合、5年前後で草方格はほぼ姿を消してしまう。その前に植生を回復させる必要がある。 草原回復を目指す際、最も初めに植えたい植物はマメ科の牧草だ。これは上の項で説明したように、土壌改良も兼ねるからだ。マメ科植物がある程度生い茂ることができれば、土壌も若干よくなり、また新たな品種を植えられるようにもなる。草方格が風化するまでに植被率を40%以上までにできれば、後は自然の力(根萌芽や実生により)で回復・拡大していくだろう(流動砂丘の植被率は15%以下)。マメ科の牧草については「 砂漠緑化優良植物図鑑 」をご覧頂きたい。 流動砂丘を草原へと回復させることは、牧畜業を主とする地元住民の生活に潤いを与える可能性がとても高いといえる。また、資材も現地にあるものを利用できるためコストもほとんどかからない。草原が広がれば、それだけ多くの資材が手に入ることにもなる。彼らが家畜を増やしたいと思えば、この流動砂丘を草原へと変えていけば良いのだ。つまり牧民達は流動砂丘を砂漠緑化という位置づけで草原化させるのではなく、生活のために行なうことになる。ボランティア活動で行なう緑化は資金や期間に限界がある。しかし、地域産業に結びついた活動であれば、無理もなく拡大させていくことができる。
<潅木植栽による緑化・開発>
地下水がある程度ある地域では、潅木の...