大同での緑化協力
ワーキングツアー
黄土高原ワーキングツアーの実施予定は、 イベント欄 に載っています。
協力開始当初から毎年春と夏、ときには秋にも派遣し続けてきたワーキングツアーの参加者は、協力団体のツアーもふくめると延べ2,300人を超えました。黄土高原の農民たちといっしょに汗を流して木を植えるのはもちろん、都市に住む中国人でさえ知らない内陸部の農村での体験は、参加者それぞれがさまざまに感得するものがあるようです。
木を植えるといっても、スコップを持つのも初めての日本の都会人が役に立つはずがありません。最初は村人のあざやかな手つきに感心するばかりですが、2、3日もすれば多少は慣れてきます。村中総出の小学校付属果樹園の作業では、「子どもたちががんばるでしょ、負けるわけにはいかないから」と張り切る若い参加者たちに、「日本人はよく働くなぁ」と村人たちも感心しますが、いかんせん長続きしません。さいわい作業は2~3時間で終わりますが、そのころにはみんなへとへと。作業後も元気に走り回る子どもたちを見て、「中国の子どもは元気だなぁ」と、ほとんどあきれ顔です。
作業が一段落すると、グループにわかれて村の農家で昼食です。たったひとつのお鍋からつぎつぎと魔法のように料理がつくりだされます。 中国のもてなしは、不足をきらいます。種類も量もとにかくたっぷり、あまるほど用意され、やっとの思いで一皿かたづけると間髪を入れずおかわりが出てくるありさま。残すのがもったいない私たちにはなかなか馴染めませんが、この豪快なやり方が中国流、賞味期限切れのお惣菜がゴミになる日本とちがって、農村部ではあまったお料理もちゃんと生かされますから心配はいりません。
お酒がふるまわれることもありますが、昼間から飲みすぎると午後の日程にさしつかえますから、ほどほどに。飲めない人は、きっぱり断ることが大切です。ビールはともかく、パイチュウ(白酒)はアルコール度数30度以上、ときに50度をこえます。歓送会でついつい過ごして、人事不省になって夜行列車にかつぎこまれた人もいましたっけ。
事情が許せばホームステイもおこなっています。家の人といっしょにテレビを見たり、筆談でコミュニケーションをはかったり。春はオンドル(床暖房の一種)も体験できます。言葉はつうじなくても、せいいっぱいもてなしてくれる気持ちがあたたかく伝わってきます。また、外灯に邪魔されずに見る星空は圧巻ですよ。
環境林センター、霊丘自然植物園、カササギの森、白登苗圃、かけはしの森など(季節によって訪問する場所は違います)、GENの緑化協力の拠点の見学もこのツアーの重要なポイントです。多様性のある森林の再生と、農村の環境の改善をめざすGENの協力活動は、やみくもに植えるだけではありません。品質のすぐれた苗木を確保するために自前で生産し、造林樹種を増やすために自然林で採取した種から地元の自生種を育て、場所をうつして試験栽培する。この地に適すると思われる果樹の品種を導入し、栽培方法を研究する。そういったフィールドが、上記にあげた拠点なのです。
大きく育ちつつある以前の造林地を見学し、雲崗の石窟などの文明の遺産に過去の栄華をしのび、ツアー仲間と日ごと夜ごとにさまざまな議論をかわしながら、やはり一番印象にのこるのは農村の人びと。
「モノはホントになんにもないけど、心の豊かさを感じる」「子どもの目がきらきら輝いてる」「みんな笑顔が素敵だよね」「日中戦争のこと、私は何も知らなかったんだ」「足が悪いあの子、学校に行ってるんだろうか」……。感じることは人それぞれ、違っていていいんです。ただ、毎日の自分の生活を、少しみつめなおすきっかけにしてもらえれば幸いです。
情報提供先→ http://homepage3.nifty.com/gentree/tour.html