Cは真の権利者たるAに対して、即時取得(192条)によって自己の所有権を主張すると考えられる。
しかし、本件では指図による占有移転(184条)がなされており、Cは直接絵画を占有していないところ、即時取得が成立するのか。指図による占有移転による占有取得が192条の「占有ヲ始メタル」にあたるのか、問題となる。
そもそも192条は取引の安全のための制度であり、178条以下の動産公示方法の不完全さを補うために、動産の占有に公信力を認めたものである。
民法課題レポート 21
1.問題
BはAから絵画を預かっていた。自分の事業の資金繰りに困ったBは、この絵画をCに売却した。
その後、BがAから預かったこの絵画をさらにDに預けており、Cへ売却した後も、以後はCのた
めに保管するようにとのBの指図を受けて、Dが保管してきた。AがBに絵画の返還を求めてきた
とき、Cはこの絵画の所有権を主張できるか。
2.回答
Cは真の権利者たるAに対して、即時取得(192条)によって自己の所有権を主張すると考え
られる。
しかし、本件では指図による占有移転(184条)がなされており、Cは直接絵画を占有してい
ないところ、即時取得が成立するのか。指図による...