事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)の解答です。本書は、法学教室にて人気連載の事例シリーズのうち、民法を単行本化したものです。
このシリーズは、刑法、会社法、民法と好評であり、事例問題形式での民法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、現時点で,民法科目最高の問題集であります。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。特に,答案を書くにあたり,受験生が苦手とする「事実の評価部分」が充実していますので、司法試験対策には非常に有用な内容に仕上がっております。
そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
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【設問1】
1、まず、CはBに対して甲土地売買契約(555条)に基づく甲土地引渡請求をすることが考えられる
もっとも、甲土地は相続によりAと共有(898条)
この共有は249条以下の共有と同義 → A持分につきBに処分権限なし
=Aの持分については他人物売買
Aが拒んでいる以上C、はAの持分分を取得できない
→この請求は認められない
2、そこで、権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任(563条)追求
(1)代金減額請求(563条1項)
ア、「売買の目的である権利の一部が他人に属する」
売買の目的物たる甲土地所有権の一部がAの持分にかかる →問題なく満たす
イ、「売主がこれを買主に移転することが出来ないとき」
社会通念上履行不能と言えるか否かで判断
Bの申し出に対しAは3000万円以上でなければ持分を譲ることは出来ないと応じ、Bは諦めている
→社会通念上履行不能
ウ、したがって、減額請求が認められる。
(2)契約解除(563条2項)
ア、「善意の買主」
・相続が起きたのは十数年前...