当該判例は、土地建物に共同抵当権が設定された後、建て替えられた新建物に土地との共同抵当権が設定された場合に、競売による土地の売買代金のうち、法定地上権の価額について新建物に対する抵当権の設定前に法定納期限が到来した国税と土地に対する抵当権の被担保債権との優劣関係が争点となった事件である。
事案の概要は以下の通りである。原告X(株式会社シー・エル・シー・エンタープライズ)はA(宝化礦産業株式会社)に対して貸金債権を有していたところ、AからA所有の土地建物に貸金債権等を被担保債権とする共同抵当権の設定を受けた。その後、Aは建物を取り壊して新建物を再築し、Xのために新建物に土地と同順位の共同抵当権を設定した。そして、新建物はAの債務不履行を理由にXが申し立てた不動産競売事件により、新建物の敷地と同時に競売に付された。ところで、Aは当初の抵当権設定後から新建物に抵当権が設定されるまでの間に法定納期限が到来した国税を滞納していたため、被告Y(国)は執行裁判所にかかる国税について交付要求をした。ここで、国税徴収法8条は、「国税債権は、納税者の総財産について、原則として、すべての公課その他の債権に優先する」と、また、同法16条は、「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税債権はその抵当権により担保される債権に劣後する」と、それぞれ規定されている。したがって、国税は新建物に対する抵当権の被担保債権に優先することになる。このため、執行裁判所は新建物のために法定地上権が成立するものとして、新建物の価額と新建物のための法定地上権の価額との合計額について、Xの債権に優先して国税に配当する内容の配当表を作成した。そこで、Xは配当異議の申出をし、配当異議の訴えを提起した。
以上のように、新建物のために法定地上権は成立せず、Yの国税債権がXの債権に優先するのは新建物の価額のみであると解するべきである。
土地建物の共同抵当における建物の再築と法定地上権の成否に関する、破棄判例について
当該判例が破棄に至るまでの経緯
当該判例は、土地建物に共同抵当権が設定された後、建て替えられた新建物に土地との共同抵当権が設定された場合に、競売による土地の売買代金のうち、法定地上権の価額について新建物に対する抵当権の設定前に法定納期限が到来した国税と土地に対する抵当権の被担保債権との優劣関係が争点となった事件である。
事案の概要は以下の通りである。原告X(株式会社シー・エル・シー・エンタープライズ)はA(宝化礦産業株式会社)に対して貸金債権を有していたところ、AからA所有の土地建物に貸金債権等を被担保債権とする共同抵当権の設定を受けた。その後、Aは建物を取り壊して新建物を再築し、Xのために新建物に土地と同順位の共同抵当権を設定した。そして、新建物はAの債務不履行を理由にXが申し立てた不動産競売事件により、新建物の敷地と同時に競売に付された。ところで、Aは当初の抵当権設定後から新建物に抵当権が設定されるまでの間に法定納期限が到来した国税を滞...
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