水道代とミネラルウォーターに関する計量的分析

閲覧数2,803
ダウンロード数37
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 全体公開

    資料の原本内容

    計量経済学レポート
    課題1
    1-1
    贅沢財と考えられるもの:ミネラルウォーター
    一般的に水というのは水道をひねれば出てくるものであり、あって当たり前のものとい
    人が購入するのではないだろうか。そう考えたため、贅沢財にミネラルウォーターを選択
    した。
    必需財と考えられるもの:上下水道料
    現在の社会では蛇口から水が出るのは当たり前と考えてよいだろう。上のミネラルウォ
    ータ-と比較するために上下水道料を選んだ。
    1-2
    以下に各財のエンゲル線を載せる。
    支出シェア ミネラルウォーター
    0
    0.0001
    0.0002
    0.0003
    0.0004
    0.0005
    0.0006
    0.0007
    0.0008
    1000000 3000000 5000000 7000000
    支出シェア 上下水道料
    0
    0.005
    0.01
    0.015
    0.02
    0.025
    0.03
    1000000 3000000 5000000 7000000
    上下水道料に関しては、所得が上がるにつれて支出割合がきれいに減少しているため、
    必需財といえる。
    ミネラルウォーターに関しては、ある程度の所得までは贅沢財とされているが、その後
    減少に転じている。このことを考えてみると、ミネラルウォーターはある物の代替財とし
    ての役割を果たしているのではないだろうか。一定の所得まではミネラルウォーターで我
    慢するが、所得が一定を超えるとミネラルウォーターを買わずにほかの財を消費するよう
    になるのではないだろうか。
    しかしながら大まかに見るとミネラルウォーターは贅沢財ではなく、必需財に分類され
    るのかもしれない。
    1-3
    ミネラルウォーターの需要関数を取り扱う。
    (1)推定結果の整理
    標本 2005 年(横断面データ)
    変数の定義 ln(q):財の需要額
    Ln(M):消費総額
    推定結果
    Ln(q) = -5.461 + 0.865 ln(M)
    SE (1.293) (0.085)
    自由度:16
    決定係数:0.863 (補正済み: 0.855)
    (2)決定係数についての考察
    決定係数を見てみると、約 0.86 と比較的高い数値といえる。所得以外の要因を考えてみ
    ると、何があげられるのだろうか。妥当なところで言えば、他の飲料の消費額ぐらいだろ
    うか。常識的に考えて代替財は多数存在するし、それが決定要因となっていてもおかしく
    はないと思う。
    使用したデータが時系列データだったらその年の気候・ブームなどを挙げられるかもし
    れないが、横断面データでは地域的な気候の差や、個人のその他の飲料への支出額ぐらい
    しか思いつかない。
    (3)所得弾力性の検定
    ①帰無仮説と対立仮説
    Ho:γ=1,
    H1:γ>1
    ②自由度=16 t値=2.12
    ③T = (0.865 - 1) / 0.085 = -1.588 > -2.12 (自由度 16;5%)
    ④tが棄却域でないため採択された。
    よって所得弾力性は1以下、つまりミネラルウォーターは必需財だと考えられる。
    課題 2
    ミネラルウォーターは価格指数が2000年以降のものしか存在しないのに加え、需要
    額はミネラルウォーター単体のものではなく、乳飲料・ミネラルウォーター・他の飲料の
    その他、の合計額のデータしかないため、課題2では上下水道料のほうを使用する。
    (1)推定結果の整理
    標本期間:1990 ~2005
    変数の定義:ln(q):財の需要額
    ln(P/PO):物価の変動を考慮した財の価格
    ln(M/PO):物価の変動を考慮した総消費額
    推定結果
    ln(q) = -4.214 + 0.6415 ln(P/PO) + 1.000 ln(M/PO)
    SE (4.889) (0.193) (0.463)
    自由度:13
    決定係数:0.744 (補正済み: 0.705)
    (2)決定係数についての考察
    決定係数は 0.744 とあまり高くない。価格と所得以外の要因として考えられるものとし
    ては、洗濯機や食洗機などの技術レベルなどを考えてみたい。最近のそれらは「使用する
    水の量が少なく、年間の水道代が節約できる」などとよく宣伝されている。そしてその技
    術がどれほど一般家計に普及しているか、つまり技術レベルの高い洗濯機・食洗機の普及
    率などが決定要因の一つになっているのではないだろうか。
    (3)価格弾力性の検定
    ①帰無仮説と対立仮説
    Ho:β=0
    H1:β>0
    ②自由度=13 t値=2.160
    ③t=0.615-1/0.193=-1.994 > -2.160(n=13)
    ④tが棄却域でないため採択された。
    (4)所得弾力性の考察
    課 題 1 のγ:0.557 標準誤差: 0.018
    課 題 2 のγ:1.000 標準誤差: 0.463
    所得弾力性は課題 1 の数値のほうが妥当だろう。
    理論的な観点から言うと、上下水道料というものは所得が上昇したら必要なくなるもの
    ではない。当然お風呂には入るし、トイレにだって行くだろう。こう考えると上下水道料
    は必需財と考えられ、所得弾力性は1より少なくなるはずである。そのため課題 1 の数値
    のほうが妥当である。
    また統計的な観点からも課題1のほうが望ましい。標準誤差を比べてみると課題1のほ
    うが圧倒的に少ないからである。

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。