日本は南北に長く山が多いことから作物の大量生産には向かない国土である。しかし温暖湿潤気候で高温多雨な夏に合った稲作は全国に普及し農業の中心として発達してきた。また、南北に長い気候風土を生かし寒い地域の特産物から暑い地域の特産物まで幅広く稲作の福作として栽培されてきた。しかし近年は消費者の嗜好の変化から野菜や果物の需要が増えたことから生産される農作物の割合が変わり、農業生産額の割合は米・野菜・果実でほぼ等しくなっている。
日本の農業経営は第二次世界大戦後の農地改革により地主による大規模経営から小作人家族による小規模経営になった。土地を与えられた小作人は作物の生産能力には長けていたが、生産から販売までのマーケティングの能力を持つ農家は少なかった。なので、農業共同団体(JA)に企画や流通などを任せて運営する農家が大多数を占める。JAは農家から絶対的な信頼をうけており、JAの商品構成は農家の生活全てをまかなえるともいわれていた。しかし最近は長引く不況や経済環境の変化からJAの経営も曲がり角を迎え農家からの信頼も徐々に薄れつつある。
現在も農家は家族単位で経営を営む零細農家が多く、農業とその他の産業に従事する兼業農家が増加しているといわれている。その理由は農業だけの収入で生活していくことが難しいということと、農業が機械化により従来に比べて作業時間が短縮されたことから空いた時間を利用して他の職業に就いていることが考えられる。そして現在世間には「農家をやっても儲からない」という風潮があり、農業に従事する人口は年々減少傾向にあると言われている。はたしてそのような風潮は正当なものなのだろうか。本稿では日本の農業の担い手の実像をみつめ、今後の農業従事者のあり方を考えていく。
【論題】
日本の農業就業者の実像
【目次】
はじめに
第1章 現状の農業担い手の把握
1農業人口
2農家の家族構成
3農業専従者
4農家の経済
5まとめ
第2章 新規就農者
1増える新規就農者
2新規就業者の就業形態
3就農の動機
4就農前の研修先割合
5新規就農者の収入
6まとめ
おわりに
はじめに
日本は南北に長く山が多いことから作物の大量生産には向かない国土である。しかし温暖湿潤気候で高温多雨な夏に合った稲作は全国に普及し農業の中心として発達してきた。また、南北に長い気候風土を生かし寒い地域の特産物から暑い地域の特産物まで幅広く稲作の福作として栽培されてきた。しかし近年は消費者の嗜好の変化から野菜や果物の需要が増えたことから生産される農作物の割合が変わり、農業生産額の割合は米・野菜・果実でほぼ等しくなっている。
日本の農業経営は第二次世界大戦後の農地改革により地主による大規模経営から小作人家族による小規模経営になった。土地を与えられた小作人は作物の生産能力には長けていたが、生産から販売までのマーケティングの能力を持つ農家は少なかった。なので...