はじめに
現在ひきこもりは100万人ともいわれ、ひとつの社会問題になっている。自分自身が大学で似たような経験をしたことからこの問題に興味を持ち文献を調べていくうちに、一部のひきこもりと呼ばれる人々が公共図書館を好んで利用していることに気付いた。このことを利用して、公共図書館がひきこもり状態からの回復の手助けをすることはできないかと考え、このテーマを設定した。
?.ひきこもり
A.定義
「ひきこもり」という用語は正式な医学用語、心理学用語ではなく、診断名や臨床単位ではなく臨床や教育・行政の現場における必要性に応じて暫定的な定義に応じて記述されるべき状態象である。斎藤環(1998)は米国精神医学界によるDSM−?精神疾患の分類診断の手引き」(“Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 4th ed.”)からから引用した「社会的ひきこもり」(social withdrawal)の用語のもとで定着を試みた。ここでの「社会的ひきこもり」とは?(自宅に引きこもって)社会参加をしない状態が6ヶ月以上続いており、?精神障害がその第一の原因とは考えにくいものをさす。
厚生労働省の定義によれば、「ひきこもり」とはその?だけをとり「6ヶ月以上自宅にひきこもって、会社や学校に行かず、家族以外との親密な対人関係がない状態」のことをさす。
この論文では、ひきこもりと言う用語は厚生労働省の定義に則って使用する。
B.歴史と現状
ひきこもりは必ずしも近年になって急増し始めたわけではない。文献上で最初に「ひきこもり」という言葉が使われたのは1980年に岡堂哲雄が発表した「ひきこもり現象と家族心理」(こころと社会、23巻3号)とされる。ここから推測される通りすでに70年代からこの種の事例はみられており、その後事例数が徐徐に蓄積されて現在の規模にいたったと考えられている。
卒論テーマ:公共図書館のひきこもり支援の可能性
章立て
はじめに
テーマ選択の動機
Ⅰ.ひきこもり
A.定義
B.歴史と現状
C.ひきこもりに付随する問題
Ⅱ.ひきこもり問題への対応
A.ひきこもり支援の現状
B.ひきこもり治療・援助の手段
Ⅲ.公共図書館のひきこもり支援の可能性
A.居場所としての公共図書館
B.Bibliotherapyの適用可能性
C.地域ネットワークの充実
はじめに
現在ひきこもりは100万人ともいわれ、ひとつの社会問題になっている。自分自身が大学で似たような経験をしたことからこの問題に興味を持ち文献を調べていくうちに、一部のひきこもりと呼ばれる人々が公共図書館を好んで利用していることに気付いた。このことを利用して、公共図書館がひきこもり状態からの回復の手助けをすることはできないかと考え、このテーマを設定した。
Ⅰ.ひきこもり
A.定義
「ひきこもり」という用語は正式な医学用語、心理学用語ではなく、診断名や臨床単位ではなく臨床や教育・行政の現場における必要性に応じて暫定的な定義に応じて記述されるべき状態象である。斎藤環...