これらのことを踏まえて私なりに考えてみたが、純潔であることを進めるのであれば、本当の意味での素晴らしさ(婚前妊娠や性感染を防ぐ利点という意味ではないもの)を教える。
それが納得できない者には、基本ではあるが、性感染の恐ろしさ、性犯罪の問題、援助交際の実態についてもできる範囲のことを知ってもらい、選択は彼らに任す(任さざるを得ないだろう)。具体的には何故、援助交際がいけないか、具体的にはそのリスクや責任能力の問題についてだろう。また、金銭を挟んで性行為をすることについても、一般的に言われる、自尊心を傷つけられるとか、金銭感覚がおかしくなるといったことが挙げられるのではないだろうか(もっとも、このあたりまでくると、性倫理を持ち出す必要があるが、今回はそこまで調査が及ばなかったので次回に持ち越したい)。一般的には正しい知識をつけることによって、性への自己決定能力を身につけ、性被害・感染症を防止し、売春などに対しても正しい判断ができるようになるのではないかと思われる。
宮台氏はこれを「ワクチン戦略」といっている。生体をバイ菌やウィルスから隔離することはできないが、だからこそ感染してしまった時の為にワクチンはある。いざその道(援助交際など)にふみこんでしまったときにジワリと効いて、戻れない道を進むのがいいのかどうかを「選ぶ」チャンスを提供するようなものだ、と彼は語る。これにはなるほどと思った。はっきりいってどんなに駄目だといってもその道に足をふみいれようとする者はいる。そこで、その岐路に立たされた時、進むのか止めるのかを選ぶ材料だけは提供しておく。宮台氏はここで、「その道に進んではいけない」といっているのではない、と述べている。言い忘れたが、彼は18歳未満の買売春を禁じる法律条に件付で賛成ではあるが、援助交際も悪くないと言う。なぜなら彼自身、そのような道に進んだ経験があり、それを後悔していないからだ。それならば私はやはり、「その道に進んではいけない」といいたい。
問題提起
主に18歳未満の援助交際について調べる。今回はゼミでの発表の総括として、援助交際(性の逸脱)防止に効果的であると言われる「純潔教育」についても考える。
調査方法
売春・援助交際に対して肯定派の、社会学者・宮台真司氏の著書を中心に、性の「自己決定権」という観点から援助交際について考える。また、インターネットから信頼のおけるデータ(日本性教育協会など)や昨年調べた結果を元に、少女たちが援助交際に走る原因なども改めて考察してみる。
(やや古いが、97年前後の文献や資料が多いので、そこから分かる事が中心になる。)
1.何故、援助交際をするのか
その理由と背景
現在は摘発も厳しくなり、水面下にもぐりつつある援助交際だが、社会現象としてマスコミなどに取り上げられたのは1990年前後であろうか。当時は「ツーショットダイヤル」「ダイヤルQ2」など、いわゆるテレクラが問題となり、行政の方もその対応に追われていた(80年代から「夕暮れ族」や、「愛人バンク(創設者は逮捕されてしまった)」などの、援助交際のようなものがあった)。電話一本で新しい「出会い」が可能となる。何故顔も見えない人と、と思...