「ニューディール」とは「新規まきなおし」の意味であり、1929年にはじまった世界恐慌に対し、1933年からフランクリン・ルーズベルト大統領の行った一連の政策のことを指す。大企業や銀行を援助し、農産物を買い上げて農民を保護し、また、労働者の生活を保障するとともに、テネシー渓谷開発公社(TVA)の地域開発事業など公共投資の増加による私的資本の投資への刺激と失業対策を行い、景気の回復をはかろうとした。...............
これらの政策により、政府支出のGDPに占める割合は4.5%(29〜32年の平均)から9.5%(33〜36年の平均)へと急拡大したものの、それでも現在の約半分に過ぎない。このため、ニューディール政策が景気刺激策として有効であったかどうかについては疑問視する見方が多い。しかし、ニューディール政策によって多くの対策を打ち出すという政府の真摯な対応が、人々の期待に働きかけ、これがアメリカ経済の回復を促した公算は大きい。現在の日本では、名目ゼロ金利が続く中、金利を通じた需要の拡大が難しいほか、為替調整においても困難であるなど、当時のアメリカとは状況が異なり、政府手段が制約されている。アメリカでの経験は、政府がリーダーシップをとって問題に立ち向かうことの重要性を示唆しているのではないかと私は思う。
ニューディール政策
「ニューディール」とは「新規まきなおし」の意味であり、1929年にはじまった世界恐慌に対し、1933年からフランクリン・ルーズベルト大統領の行った一連の政策のことを指す。大企業や銀行を援助し、農産物を買い上げて農民を保護し、また、労働者の生活を保障するとともに、テネシー渓谷開発公社(TVA)の地域開発事業など公共投資の増加による私的資本の投資への刺激と失業対策を行い、景気の回復をはかろうとした。
そこで、少し世界恐慌について触れておきたい。1920年代におけるアメリカ合衆国の「アンバランスな繁栄」は、1929年10月24日にニューヨークのウォール街の株式大暴落に端を発する...