第1章では、統計上の歪みにより日本経済は想像以上に前からデフレに陥っていたことを述べている。さらに、勘違いしがちなデフレの怖さをデフレ時に起こりうる経済現象で説明している。第2章では、不良債権処理がうまくいかないのは根本にデフレという問題があるためだということを、金利や株式持ち合いの話を通して説明している。第3章では、財政のシミュレーションなどを使って、デフレがこのまま続けば日本は破綻すると警告している。第4章では、日本経済のデフレのひどさを示した上で、政府と日銀が取るべき対応について述べている。以上が本書の要約である。
本書は抜け目がない。会計上に表面化しない企業の損失の理由を、物価変動による負債の実質価値の影響と指摘している点は著者自らの視点であると評価できる。また、不良債権がここ数年増加し続けている状況の把握に、「不良債権の推移」と「中小企業1件当たりの貸出残高」という異なった観点からの分析を行っているのは、信頼に値するだろう。
このように自ら日銀にいたことのある著者によるものからか、本書は非常にレベルが高いと思われる。そのような本書について、経済に明るくない人間(私のような)がどうこう言えるものではないが、若干気になる点があったのでその点について触れてみる。
「日本破綻-デフレと財政インフレを断て-」 書評
第1章では、統計上の歪みにより日本経済は想像以上に前からデフレに陥っていたことを述べている。さらに、勘違いしがちなデフレの怖さをデフレ時に起こりうる経済現象で説明している。第2章では、不良債権処理がうまくいかないのは根本にデフレという問題があるためだということを、金利や株式持ち合いの話を通して説明している。第3章では、財政のシミュレーションなどを使って、デフレがこのまま続けば日本は破綻すると警告している。第4章では、日本経済のデフレのひどさを示した上で、政府と日銀が取るべき対応について述べている。以上が本書の要約である。
本書は抜け目がない。会計上に表面化しない企業の損失の理由を、物価変動による負債の実質価値の影響と指摘している点は著者自らの視点であると評価できる。また、不良債権がここ数年増加し続けている状況の把握に、「不良債権の推移」と「中小企業1件当たりの貸出残高」という異なった観点からの分析を行っているのは、信頼に値するだろう。
このように自ら日銀にいたことのある著者によるものからか、本書は非常にレベルが高いと思われ...