1(1)本問では供述書および嘆願書について「いかなる証明が必要か」が問われている。では、犯罪事実の基礎となる事実の証明方法はどのような証明方法によるべきか、本問の供述書・嘆願書を証拠とすることができるか否かに関わるので問題となる。そこで、まず317条で「事実の認定は、証拠による」と規定される証拠裁判主義の意義について検討する。
(2)「証拠」とは、証拠能力がある証拠で、かつ適式の証拠調べを経た証拠を意味し、一定の「事実」についてはかかる証拠による証明、すなわち厳格な証明を要求したものと考える。なぜなら、刑事訴訟法は、証拠能力(319条〜328条)および証拠調手続(304条〜310条)について厳格な規制を施して、裁判所の合理的な事実認定を確保しており、また、捜査機関が被告人の人権を不当に侵害することを防止し、また、裁判の公正を担保するために、証拠能力ある証拠で、かつ適式の証拠調べを経た証拠による証明が必要とされるためである。
1(1)本問では供述書および嘆願書について「いかなる証明が必要か」が問われている。では、犯罪事実の基礎となる事実の証明方法はどのような証明方法によるべきか、本問の供述書・嘆願書を証拠とすることができるか否かに関わるので問題となる。そこで、まず317条で「事実の認定は、証拠による」と規定される証拠裁判主義の意義について検討する。
(2)「証拠」とは、証拠能力がある証拠で、かつ適式の証拠調べを経た証拠を意味し、一定の「事実」についてはかかる証拠による証明、すなわち厳格な証明を要求したものと考える。なぜなら、刑事訴訟法は、証拠能力(319条~328条)および証拠調手続(304条~310条)について厳格な規制を施して、裁判所の合理的な事実認定を確保しており、また、捜査機関が被告人の人権を不当に侵害することを防止し、また、裁判の公正を担保するために、証拠能力ある証拠で、かつ適式の証拠調べを経た証拠による証明が必要とされるためである。
(3)では、厳格な証明の対象となる「事実」とは何か。
厳格な証明の対象となる同条の「事実」とは、原則として、刑罰権の存否及び範囲を画する事実(違法な事実、処罰条件た...