1 本件は、自虐的なSM趣味のあるAがXに対し強く依頼し、その依頼に応えるかたちで、XがAの用意したナイフでAを刺殺した事案である。
本件では、Xは殺人の故意を持ってAをナイフで刺し殺している点で、Xの行為は殺人罪(199条)の構成要件に該当する。しかし、AはXに対し、自分を刺し殺して欲しいことを依頼しているため、嘱託殺人罪(202条後段)の構成要件に該当する可能性がある。
そこで、嘱託殺人罪の成否が問題となる。
2(同意殺人罪の減刑根拠)
嘱託殺人罪とは、被害者の嘱託を受け殺す行為を内容とする犯罪をいう。
嘱託殺人罪は、行為の殺人行為の一種であるにもかかわらず、普通殺人罪に比較して刑が軽く規定されている。そこで、その減軽の根拠が問題となる。
この点、確かに、生命は個人では勝ってに処分し得ない法益なので、同意は違法性を阻却ないという説明が考えられる。
1 本件は、自虐的なSM趣味のあるAがXに対し強く依頼し、その依頼に応えるかたちで、XがAの用意したナイフでAを刺殺した事案である。
本件では、Xは殺人の故意を持ってAをナイフで刺し殺している点で、Xの行為は殺人罪(199条)の構成要件に該当する。しかし、AはXに対し、自分を刺し殺して欲しいことを依頼しているため、嘱託殺人罪(202条後段)の構成要件に該当する可能性がある。
そこで、嘱託殺人罪の成否が問題となる。
2(同意殺人罪の減刑根拠)
嘱託殺人罪とは、被害者の嘱託を受け殺す行為を内容とする犯罪をいう。
嘱託殺人罪は、行為の殺人行為の一種であるにもかかわらず、普通殺人罪に比較して刑が軽く規...