■幼児の遺失利益
「幼児の逸失利益」は、幼児が交通事故などで死亡した場合に問題となる。
一般に、幼児には収入がない。しかし、収入がない点では、高校生・大学生・失業者なども同様である。しかし、収入がない点では同様であっても、これらの者と幼児とでは将来における収入を得る可能\性の予\測について大きな違いがある。なぜなら、幼児の段階では、将来の収入を正確に予\測することがきわめて困難だからである。そこで、幼児の逸失利益の算定基準が問題となる。
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「逸失利益の男女格差」について、女児の場合、将来の家事労働分をどのように扱うかという問題がある。
この点、東京高裁昭和55年11月25日判決の女児が交通事故で死亡した事案で、女子全労働者その他各年齢階級の平均賃金に家事労働分を加算する判決が下された。
しかし、最高裁は昭和62年1月19日判決の女児が交通事故で死亡した事案では、「女子労働者平均賃金を基準に逸失利益を算定する以上、将来労働により取得しうる利益は右の算定により評価し尽されている」として、家事労働分の加算という是正方法は明示的に否定されてしまった。
この問題について、現在または将来の男女共同参画が進む社会の中では、必ずしも女性が一般的な家事労働を行うとは限らない。なぜなら、近年、女性が働き、男性が「主夫」として家事を行う夫婦も現れ、従来の夫婦の役割が変わりつつあるからである。しかし、子育てを家事労働に含めるとすれば、そこには女性にしかできない労働もある。私は、この女性にしかできない労働分は家事労働分として加算すべきと考える。
幼児の逸失利益の算定基準に関する考察
■逸失利益とは
逸失利益とは、交通事故などで死亡したとき、事故に遭わないで生きていれば、生涯にわたって得たであろう賃金から生活費を差し引いたものであり、加害者から被害者の遺族に支払われる。
また、法律学小事典では以下のように定義されている。「債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償において,その債務不履行又は不法行為の事実がなければ得たであろうと思われる利益。得べかりし利益ともいう。」
■幼児の遺失利益
「幼児の逸失利益」は、幼児が交通事故などで死亡した場合に問題となる。
一般に、幼児には収入がない。しかし、収入がない点では、高校生・大学生・失業者なども同様である。しかし、収入がない点では同様であっても、これらの者と幼児とでは将来における収入を得る可能性の予測について大きな違いがある。なぜなら、幼児の段階では、将来の収入を正確に予測することがきわめて困難だからである。そこで、幼児の逸失利益の算定基準が問題となる。
◇幼児が後遺障害を伴う場合の逸失利益
ところで、幼児が死亡した場合ではなく、後遺障害を伴った場合はどのような点に注意が必要であろうか。
現...