マニフェストとは本来、宣言や声明文などの意味を持つものである。しかし、選挙においてマニフェストとは「数値、財源、期限が入った選挙公約」という意味を持っている。この意味で「マニフェスト」という言葉が最初に使われるようになったのは、英国である。
英国の選挙において、マニフェストは非常に重要なものである。従来から、政党が国政選挙でマニフェストという政策綱領を掲げ、首相候補と政策を一体で有権者に選んでもらうということが行われてきた。マニフェストは、政権を取ったら必ず実行するという「実行リスト」であり、具体的な期限、財源、方法、数値目標などが盛り込まれ、有権者に対する一種の「契約」だとみなされている。そして選挙で勝った政党は、マニフェストを実行するための体制を作り、それを実現するために努力し、それが達成されたかどうかの評価を受けてから次の選挙を戦う。例えば、英国労働党は97年にマニフェストを示し、政権獲得後は毎年マニフェストで示した約束をどこまで達成したかを発表し、最終的な検証を2001年の総選挙の際に示したマニフェストで行うことで97年以降の個々の公約をいかに誠実に行ってきたかを示している。こうしたことから有権者は、各政党がどういう政策を実行しようとしているのか容易にイメージできるから、マニフェストを投票の際の判断材料とする。それは、一般的なサラリーマン階層でも、労働党、保守党、そして自由民主党などの主要政党のマニフェストに書かれている概要くらいは頭にはいっているという程である。このことからも英国の国政選挙が、政権選択の選挙となっている大きな要因としてマニフェストがあると言うことができるだろう。
行政学レポート
マニフェストにみる政治と行政の関係 ~二大政党の比較から~
マニフェストとは本来、宣言や声明文などの意味を持つものである。しかし、選挙においてマニフェストとは「数値、財源、期限が入った選挙公約」という意味を持っている。この意味で「マニフェスト」という言葉が最初に使われるようになったのは、英国である。
英国の選挙において、マニフェストは非常に重要なものである。従来から、政党が国政選挙でマニフェストという政策綱領を掲げ、首相候補と政策を一体で有権者に選んでもらうということが行われてきた。マニフェストは、政権を取ったら必ず実行するという「実行リスト」であり、具体的な期限、財源、方法、数値目標などが盛り込まれ、有権者に対する一種の「契約」だとみなされている。そして選挙で勝った政党は、マニフェストを実行するための体制を作り、それを実現するために努力し、それが達成されたかどうかの評価を受けてから次の選挙を戦う。例えば、英国労働党は97年にマニフェストを示し、政権獲得後は毎年マニフェストで示した約束をどこまで達成したかを発表し、最終的な検証を2001年の総選挙の際に示したマニ...