戦時下の社会事業と軍事援護
社会事業法の制定
日華事変以後、戦時体制化が進んでいく中で、戦時下の「銃後生活」対策として社会事業が拡大されるとともに、国の社会事業に対する監督が強化されていく。社会事業の多くは民間の社会事業施設であり、経営難となるものが多かった。昭和13年「社会事業法」により、民間社会事業に対する保護助成と国の指導監督が強化された。
医療保護法の制定
兵力・労働力の基礎として国民の体位の向上が重視され、生活困窮者の医療保護についても強化が図られる。救護法等によるそれまでの医療内容では十分ではなく、社会事業団体や方面委員から改善が求められた。昭和16年「医療保護法」が制定され、従来からの生活困窮者に対する医療保護事業を統合整理し、政府の管理の下に統一的に行われることとなる。一方、救護法の分散化傾向は、この法律の出現によってますます強まる。
児童保護・母子保護対策の推進
大正末期から、生計中心者を失い生活の困難を来している母子に対して保護を求める運動が婦人団体等により行われ始める。このような運動のなかで、昭和12年「母子保護法」が成立する。貧困のため生活が困難であったり...