1.はじめに
政治家に会った時に、自分はよく二つの質問をする。その一つが「これからの日本人にとって何が最も必要か」というものである。
もちろん、この問いには正解など存在しない。しかしこの答えには、その政治家の危機意識や問題意識が端的に表れると思っている。そして問いに対する自分の中での答えは、
「自ら考え、決めること」である。何故か。
先進国に追いついて、列強から日本を守るという至上命題を抱えて近代化を果たした明治・大正・昭和初期の時代。
敗戦のショックから立ち上がり、平和を享受しつつ右肩上がりの経済成長を果たしてきた昭和中後期の時代。
そして高度成長期が終わり、いよいよ一国平和主義では立ち行かなってきたという危機感の中で、何か目指すべきものを求めつつも、答えを得られていないのが、現代の平成と呼ばれる時代である。安定していても何とはなしに不安定感を感じるのは、目指すべき未来の国家像がコンセンサスを得ていないからであろう。その理由は、リーダーであるはずの政治家がそれを示せず、主権者であるはずの国民が考えることを放棄しているからではなかろうか。私はそのような危惧を抱いている。あらゆる分野で日本、そして世界の危機が近づいている。考え直す時期が来ているのではないか。自分たちがどんな国家を目指し、自分がどんな人生を歩むのか。
明治維新は、武士による改革であった。戦後改革は、アメリカ主導の改革であった。これからの改革は、国民一人一人による、政治改革でなければならない。それが、真の民主主義国家に要請される理想である。そのために、「自分で考え、決めること」が求められているのである。そして、「自分で考える」ための道具が、「マニフェスト」である。
21世紀の日本政治に現れた「マニフェスト」と「二大政党制」の流れ。
論文
テーマ『マニフェストは何をもたらすか-英国モデルに学ぶ』
目次
1.はじめに
2.マニフェストとは
3.英国における選挙制度
4.英国マニフェストサイクルモデル
5.日本におけるマニフェスト・サイクル
6.おわりに
1.はじめに
政治家に会った時に、自分はよく二つの質問をする。その一つが「これからの日本人にとって何が最も必要か」というものである。
もちろん、この問いには正解など存在しない。しかしこの答えには、その政治家の危機意識や問題意識が端的に表れると思っている。そして問いに対する自分の中での答えは、
「自ら考え、決めること」である。何故か。
先進国に追いついて、列強から日本を守るという至上命題を抱えて近代化を果たした明治・大正・昭和初期の時代。
敗戦のショックから立ち上がり、平和を享受しつつ右肩上がりの経済成長を果たしてきた昭和中後期の時代。
そして高度成長期が終わり、いよいよ一国平和主義では立ち行かなってきたという危機感の中で、何か目指すべきものを求めつつも、答えを得られていないのが、現代の平成と呼ばれる時代である。安定していても何とはなしに不安定感を感じるのは、目指すべ...