渋谷の、とあるビルの地下に「maria cuore(マリアの心臓)」というギャラリーがある。
私はこの課題において、「マリアの心臓」にて先月催された「幼きマリア様」という人形展示会について、その空間がどのような働きを持つ「装置」であるか、そのためにはどういった企画が求められていたのかについて論じていきたいと思う。
「マリアの心臓」とは、2003年2月に閉鎖された人形ギャラリー「マリアクローチェ」の後継である。店主いわく、ギャラリーというよりは「人形好きのサロンにしたい」というコンセプトから来る店名らしい。渋谷駅から東急ハンズ方面へと向かう道に、その場所はある。注意していないと素通りしてしまうほど、何気なく、ひっそりと存在している。そこが会場だと知らなければ、十中八九、人々は気付くことは無いであろう。渋谷の極ありふれた外装のビルからエレベーターで地下へと降り、一度そのドアが開いた瞬間、世界は変わるのだ。そんなところもこのギャラリーの魅力なのかもしれない。室内は、「マリアクローチェの眠る秘密の地下室で」というテーマを崩さないゴシックな雰囲気が保たれている。これこそが「脱美術館」として機能しているのではないかと私は考える。展示品である人形をより美しく見せるために、様々なディスプレイが施されており、「美術館」というような格式ばった雰囲気は無く、どこか不思議な部屋へと迷い込んでしまったような錯覚を与えるのだ。そのことがより一層人形達を魅力的に見せているのだと私は感じた。
今回私が観に行ったのは「幼きマリア様」という題の、現代作家の作品とアンティークドールの展示会である。室内は小教室を半分にしたくらいのさほど大きな空間ではなく、全体的に薄暗い黒のイメージで、蝋燭の明かりが所々で灯されている。
アートマネジメント春学期課題
渋谷の、とあるビルの地下に「maria cuore(マリアの心臓)」というギャラリーがある。
私はこの課題において、「マリアの心臓」にて先月催された「幼きマリア様」という人形展示会について、その空間がどのような働きを持つ「装置」であるか、そのためにはどういった企画が求められていたのかについて論じていきたいと思う。
「マリアの心臓」とは、2003年2月に閉鎖された人形ギャラリー「マリアクローチェ」の後継である。店主いわく、ギャラリーというよりは「人形好きのサロンにしたい」というコンセプトから来る店名らしい。渋谷駅から東急ハンズ方面へと向かう道に、その場所はある。注意していないと素通りしてしまうほど、何気なく、ひっそりと存在している。そこが会場だと知らなければ、十中八九、人々は気付くことは無いであろう。渋谷の極ありふれた外装のビルからエレベーターで地下へと降り、一度そのドアが開いた瞬間、世界は変わるのだ。そんなところもこのギャラリーの魅力なのかもしれない。室内は、「マリアクローチェの眠る秘密の地下室で」というテーマを崩さないゴシックな雰囲気が保たれている。こ...