カント Immanuel Kant 1724〜1804 ドイツ啓蒙期の哲学者。カントは、もっとも影響力の大きかった近代思想家のひとりである。彼は人間の認識能力をみきわめることを追求した。81年、「純粋理性批判」によって、合理主義と経験主義を総合した超越論主義を主張。つづいて、88年「実践理性批判」、90年「判断力批判」を発表し、みずからの批判哲学を完成した。とりわけ、その批判哲学の根幹をなす「純粋理性批判」では、理論的認識の範囲を経験世界(現象界)に限定したうえで、その認識の対象は認識作用を通じて主観によって構成され可能となるのだとした。
「理性について」
まず、カントにおいて『理性』とは何を意味しているのか。カントはこの言葉をその都度特定の様式で使用しているため、「これ」という答えは無いだろう。しかも、理性という言葉は悟性という言葉としばしば同一視されているようにも思われる。カントは純粋理性批判のなかで「しかし、私はここで理性ということで上位の認識能力全体を理解し、このようにして合理的なるものを経験的なものに対置する。」と述べている。一般的には次のようなことが言える。理性や悟性という言葉が表しているのは、思惟する能力であり、概念によって何者かを表象する能力である。理性や悟性は概念の能力であるといえる。では、純粋理性とはなんであろうか。『異質なものが混在していない全ての認識は、純粋と呼ばれる。しかしとりわけ、そもそもいかなる経験も感覚も混入しておらず、従って完全にアプリオリに可能であるような、そういう認識は、端的に純粋であると名づけられる。したがって、アプリオリな認識とは、概念による、端的に経験から離れた認識作用を意味する』・・・*1 したがって、純粋理性とは、対象を端的にアプリオリに認識するための理性であるといえるのではないか。
カント哲学
カント Immanuel Kant 1724~1804 ドイツ啓蒙期の哲学者。カントは、もっとも影響力の大きかった近代思想家のひとりである。彼は人間の認識能力をみきわめることを追求した。81年、「純粋理性批判」によって、合理主義と経験主義を総合した超越論主義を主張。つづいて、88年「実践理性批判」、90年「判断力批判」を発表し、みずからの批判哲学を完成した。とりわけ、その批判哲学の根幹をなす「純粋理性批判」では、理論的認識の範囲を経験世界(現象界)に限定したうえで、その認識の対象は認識作用を通じて主観によって構成され可能となるのだとした。
「理性について」
まず、カントにおいて『理性』とは何を意味しているのか。カントはこの言葉をその都度特定の様式で使用しているため、「これ」という答えは無いだろう。しかも、理性という言葉は悟性という言葉としばしば同一視されているようにも思われる。カントは純粋理性批判のなかで「しかし、私はここで理性ということで上位の認識能力全体を理解し、このようにして合理的なるものを経験的なものに対置する。」と述べている。一般的には次のよ...