能の曲目、四番目物である葵上は伝書「申楽談儀」にも記載があり近江猿楽系の小作を世阿弥が改作した曲である。この葵の上は源氏物語の「葵」からの出典である。しかし、マンガあさきゆめみしはかなり源氏物語に忠実であるのに対し葵上にはかなり違う点が見受けられる。あさきゆめみし、源氏物語を踏まえ、能葵の上の特徴を論じたいと思う。
まず、愛人である六条御息所が源氏の誠実でない態度ゆえに不安定な精神状態になり車争いをきっかけに源氏の妻葵の上に対する深い敵意を抱き、無意識のうちに生霊となって葵の上を襲う、という筋書きの要点は、御息所と葵の上を本妻と後妻のように扱っている点などを別とすれば、能においても基本的に見られる。また御息所の内攻的正確や高貴な生まれと誇り高い心性もほぼ忠実にシテの中に受け継がれていると言える。
しかし、やはり「葵上」には原典、マンガとのずれがかなり目立つことも事実である。
能の曲目、四番目物である葵上は伝書「申楽談儀」にも記載があり近江猿楽系の小作を世阿弥が改作した曲である。この葵の上は源氏物語の「葵」からの出典である。しかし、マンガあさきゆめみしはかなり源氏物語に忠実であるのに対し葵上にはかなり違う点が見受けられる。あさきゆめみし、源氏物語を踏まえ、能葵の上の特徴を論じたいと思う。
まず、愛人である六条御息所が源氏の誠実でない態度ゆえに不安定な精神状態になり車争いをきっかけに源氏の妻葵の上に対する深い敵意を抱き、無意識のうちに生霊となって葵の上を襲う、という筋書きの要点は、御息所と葵の上を本妻と後妻のように扱っている点などを別とすれば、能においても基本的に見ら...
現代語訳とか舞台とかとも比較してあったらもっと嬉しかったかも。