文部省が定義しているいじめとは、「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」である。しかし、この公式的で、限定的な定義の枠外で、様々な矛盾や諸問題が存在している。いじめは第三者が発見しにくいもので、これがいじめであると断定することは難しい。更に、当事者の間でも、加害者と被害者側の認識のずれがある場合も多く、現在ではそのずれを加害者側が巧みに利用してさらにいじめを陰湿にさせる場合もあり、実質的に正確にいじめの現象を捉えることはますます困難になっている。
いじめ問題とは何かを明らかにし、その発生メカニズムと今日的な特質について述べよ。
文部省が定義しているいじめとは、「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」である。しかし、この公式的で、限定的な定義の枠外で、様々な矛盾や諸問題が存在している。いじめは第三者が発見しにくいもので、これがいじめであると断定することは難しい。更に、当事者の間でも、加害者と被害者側の認識のずれがある場合も多く、現在ではそのずれを加害者側が巧みに利用してさらにいじめを陰湿にさせる場合もあり、実質的に正確にいじめの現象を捉えることはますます困難になっている。
今日のいじめの特徴として、いじめの存在が親や教師など、周りからは見えないところにまで「深化」してしまったことが挙げられる。これまでのいじめの構造を段階的にみていくと、初期では、ある程度周囲から見えやすいいじめであったといえる。自分より身体的に、能力的に「劣る」子を集団から排除する働きがあった。そして、次は、必ずしも「劣る」子ではなく、「できる」子も対象になった。つまり子供たちが「普通」と考える...