佐藤信夫の「レトリック感覚」を読んだ。その中の隠喩について書かれた章について内容をまとめ、感想を書こうと思う。第2章の中に5つの意味段落があるため、それぞれ一つの意味段落が終わるごとに感想をはさんでいく形式を取りたいと思う。
第2章 隠喩
P.100
隠喩の構造
直喩について語られた第1章からつづく章である。佐藤はまず隠喩をこのように定義する。「あるものごとの名称を、それと似ている別のものごとをあらわすために流用する表現法が隠喩−メタファーである。」
続いて古典レトリックの標準的な定義として『デュマルセ「比喩論」への理論的注釈』の中でピエール・フォンタニエが提案した非常に長い定義挙げている。
「比喩(または転義)の一種であり、ふたつの観念がある種の類似性をもっている場合、その類似性にもとづき、一方の観念に固有のものとして決められている記号(表現)をもちいて、もう一方の観念をあらわす手法。それは、あらわされるほうの観念にその固有のものとしての記号がまだ指定されていないから、という理由による場合もあるし、また、そのような借用記号をたおってその観念を感覚的にいっそうとらえやすいものにしたいから、あるいは、いっそうこころよいものにしたいから、という理由による場合もある。」
佐藤はこれを「法律の文章のようで、たのもしさと引きかえにわずらわしさを背負いこむものらしい」として、形式に注目して次のようにまとめている。
「XとYというふたつのものごと(あるいは観念)が互いに類似しているとき、Yの名称(あるいは記号)すなわちYを借用してXを表現すること。」(ただし、XYは言語表現そのものをさし、XYはそれらの言語表現によってあらわされる意味内容とする。)
佐藤はこれを古典時代以来の換喩に対する平均値的な考え方であり、代入理論と呼ばれていると紹介している。
レトリック感覚(第2章)を読んで
佐藤信夫の「レトリック感覚」を読んだ。その中の隠喩について書かれた章について内容をまとめ、感想を書こうと思う。第2章の中に5つの意味段落があるため、それぞれ一つの意味段落が終わるごとに感想をはさんでいく形式を取りたいと思う。
第2章 隠喩
P.100
隠喩の構造
直喩について語られた第1章からつづく章である。佐藤はまず隠喩をこのように定義する。「あるものごとの名称を、それと似ている別のものごとをあらわすために流用する表現法が隠喩-メタファーである。」
続いて古典レトリックの標準的な定義として『デュマルセ「比喩論」への理論的注釈』の中でピエール・フォンタニエが提案した非常に長い定義挙げている。
「比喩(または転義)の一種であり、ふたつの観念がある種の類似性をもっている場合、その類似性にもとづき、一方の観念に固有のものとして決められている記号(表現)をもちいて、もう一方の観念をあらわす手法。それは、あらわされるほうの観念にその固有のものとしての記号がまだ指定されていないから、という理由による場合もあるし、また、...