刑法事例演習教材の答案を作成してみました。答案上記になる点については、コメントを付けてあります。参考までに。
刑法事例演習教材
36 一石三鳥
甲の罪責
甲は、Aのパソコンを盗み出したので、窃盗罪の罪責を負う(235条)。
次に甲は、そのパソコンの売却を乙に依頼し、売却代金10万円を受け取った。この行為は、窃盗罪に通常伴うものであるので、先に成立した窃盗罪の付加罰的事後行為であるといえる。したがって、甲は、この行為については、何ら罪責を負わない。
よって、甲には、窃盗罪のみが成立する(235条)。
乙の罪責
乙は、甲からパソコンの買主を探すように依頼され、盗品とは知らずにそのパソコンを預かったところ、その後盗品であることに気付いた。しかし、乙は、そのパソコンを預かり続けた。この行為により、乙には、盗品保管罪が成立するか(265条2項)。
まず、265条2項にいう「保管」とは、委託を受けて盗品等を保管することをいう。本件では、乙は、甲から、内蔵ハードディスクの初期化と買主を探すことを依頼され、そのためにパソコンを預かった。したがって、乙は、委託を受けて、盗品である本件パソコンを預かり、「保管」しているといえる。
もっとも、乙は、「保管」を開始した時点では、本件パソコンが盗品であ...