ウェスレーの1785年の説教64『新しい創造NEW CREATION』には数多くの詩の引用に満ちている。ウェスレーの説教には珍しく現実的に信仰者がどのように歩むべきか、みずからの信仰を省みさせる言葉はほとんどない。ウェスレーは唯一の黙示録からの説教において、現実的な事柄よりも、むしろ賛美と詩によって聴衆の想像力に働きかけることで新しい天と地のイメージを喚起させているように見える。
引用の種類は多岐にわたり、ウェルギリウスの『牧歌』、そしてアイザック・ワッツIsaac Wattsの『我らの讃美する永遠なる知恵 Eternal Wisdom Thee We Praise』からの二節、ジョン・ミルトンの『失楽園』などがある。
アイザック・ワッツによる影響は、ウェスレーの出版した『詩集と讃美歌集』(Collection of Psalms and Hymns)の半数がワッツの賛美歌であることからも知られている。 またウェルギリウスの詩もあるが、ギリシア・ローマの詩人の引用は多くの説教や書簡で見られる。 しかしジョン・ミルトンとの接点について語られることは少ない。この説教の中で「私たちの偉大なる詩」と表現するミルトンの詩をウェスレーはなぜ多用し、何を訴えたのであろうか。
「ジョン・ウェスレーと新しい天と地のイメージ――説教64『新しい創造』にみる終末思想とジョン・ミルトン『失楽園』の影響」
ウェスレーの1785年の説教64『新しい創造NEW CREATION』には数多くの詩の引用に満ちている。ウェスレーの説教には珍しく現実的に信仰者がどのように歩むべきか、みずからの信仰を省みさせる言葉はほとんどない。ウェスレーは唯一の黙示録からの説教において、現実的な事柄よりも、むしろ賛美と詩によって聴衆の想像力に働きかけることで新しい天と地のイメージを喚起させているように見える。
引用の種類は多岐にわたり、ウェルギリウスの『牧歌』、そしてアイザック・ワッツIsaac Wattsの『我らの讃美する永遠なる知恵 Eternal Wisdom Thee We Praise』からの二節、ジョン・ミルトンの『失楽園』などがある。
アイザック・ワッツによる影響は、ウェスレーの出版した『詩集と讃美歌集』(Collection of Psalms and Hymns)の半数がワッツの賛美歌であることからも知られている。 またウェルギリウスの詩もあるが、ギリシア・ローマの詩人の...