トニオ・クレーゲル
トニオ・クレーゲルの主題は、いわゆる「市民的気質」と「芸術家的気質」というものだと思う。
主人公のトニオ・クレーゲルは、父親が商人である実務的な市民的気質のドイツ人、母親は対照的な芸術家気質の情熱的なイタリア人で、トニオ・クレーゲルは父親の市民的気質も母親の芸術家的気質も受け継ぎ、中間の領域(若干芸術家よりに位置するかもしれないが)世間の少数派として生存することになる。ただ、彼ははじめ、自分は芸術家の世界に属していると思い込んでいる。彼はヴァイオリンを弾き、詩をしたため、『ドン・カルロス』を読んでいたのだ。
トニオ・クレーゲル
トニオ・クレーゲルの主題は、いわゆる「市民的気質」と「芸術家的気質」というものだと思う。 主人公のトニオ・クレーゲルは、父親が商人である実務的な市民的気質のドイツ人、母親は対照的な芸術家気質の情熱的なイタリア人で、トニオ・クレーゲルは父親の市民的気質も母親の芸術家的気質も受け継ぎ、中間の領域(若干芸術家よりに位置するかもしれないが)世間の少数派として生存することになる。ただ、彼ははじめ、自分は芸術家の世界に属していると思い込んでいる。彼はヴァイオリンを弾き、詩をしたため、『ドン・カルロス』を読んでいたのだ。 トニオは、クラスメートの金髪の美少女に恋をするが、彼女はあきらかに市民的気質で、トニオは彼女に遠くから憧れを抱くものの、なかなか近づけない。 この時の彼は芸術家特有の鬱屈した孤独感が強く、くったくがなく深く考えること無く行動できる彼女に、劣等感を感じる。 ハンスという美少年もトニオは大好きであったが、同様に彼も市民的気質を持った少年であり、ますますトニオは距離を感じて悩む。
芸術家的気質を持った人間は世間一般に見れば少数派であり、変わり者と思われる存在かもしれな...