アール・ヌーボーとは、19世紀末の1890年代から1910年頃にかけてヨーロッパの国々で流行した装飾美術の様式をいう。(アール・ヌーボーはフランス語で新しい芸術という意味)主に曲線を主体とする今までにない新しい美のスタイルで、たちまちヨーロッパからアメリカ、さらに日本などの国々まで普及し、各地で斬新な装飾美術が生まれた。ところで、アール・ヌーボーとは何が新しかったのか、答えは当時の古い状況の中にあったのだ。19世紀は、歴史や美術史といった学問が発達し、過去の造形美術の特色を「様式」という考えで分類する事がさかんになった。例えばそれぞれの芸術家の固有の表現のしかたの特色を「個人様式」という。同時に個々の作品は、同じ時代、同じ流派、同じ地方のほかの作家の表現のしかたと共通するものを持っていることが多く、そうした共通のものの見方や感じ方、あるいは表現のしかたの特徴を、それぞれ、「時代様式」「流派様式」「地方様式」と呼んでいた。19世紀後半のヨーロッパの美術、特にデザインの世界では、歴史主義、異国趣味と呼ばれる様式を使ったり、混ぜ合わせたりする手法が主流だった。様々な過去の様式が組み合わされ存在するという、かつてない状況で19世紀はそれ自身の様式を持たない時代になろうとしていた。しかし、さすがに19世紀の末ともなると、こうした状況に対して反省するようになり、「今の自分達の時代にはもっと相応しい新しい様式がある!」と考える人が多くなった。そして、過去の美術、あるいは異国の美術を単に真似するのではない、まったく新しい様式のアール・ヌーボーが1890年に誕生したのだ。
アール・ヌーボーとは、19世紀末の1890年代から1910年頃にかけてヨーロッパの国々で流行した装飾美術の様式をいう。(アール・ヌーボーはフランス語で新しい芸術という意味)主に曲線を主体とする今までにない新しい美のスタイルで、たちまちヨーロッパからアメリカ、さらに日本などの国々まで普及し、各地で斬新な装飾美術が生まれた。ところで、アール・ヌーボーとは何が新しかったのか、答えは当時の古い状況の中にあったのだ。19世紀は、歴史や美術史といった学問が発達し、過去の造形美術の特色を「様式」という考えで分類する事がさかんになった。例えばそれぞれの芸術家の固有の表現のしかたの特色を「個人様式」という。同時に個々の作品は、同じ時代、同じ流派、同じ地方のほかの作家の表現のしかたと共通するものを持っていることが多く、そうした共通のものの見方や感じ方、あるいは表現のしかたの特徴を、それぞれ、「時代様式」「流派様式」「地方様式」と呼んでいた。19世紀後半のヨーロッパの美術、特にデザインの世界では、歴史主義、異国趣味と呼ばれる様式を使ったり、混ぜ合わせたりする手法が主流だった。様々な過去の様式が組み合わされ存...