法の支配を採用した日本においては、行政活動について、行政機構がどのような場合に、どのように行動できるかを予め個別具体的に詳細に法律で定めることが必要である。しかし、起こりうるありとあらゆる事態を想定した立法を現実的に無理がある。もし、全ての行動について、法律による授権を必要とするならば、充実した行政活動ができず、福祉主義の要請に応えることができなくなる。そこで、行政機関に包括的な受験を行うことで、政策的・技術的な判断を行政に委ねる必要性が生じた。このように、行政が法令によって一義的に拘束されず、行政に認められた判断の余地を行政裁量と呼ぶ。行政裁量は判断の程度・内容に応じて、覊束行為と裁量行為に分類される。
覊束行為は、法律の明確な規定のもと、法の機械的執行が要求され、裁量の自由が無い行為である。法を明確・一義的に適用されるので、裁判所は司法審査をすることができる。
次に、裁量行為であるが、専門的技術・政策的判断について、法律であえて不明確・多義的な概念を導入し、個別の事態に応じた、柔軟な対応ができるようにした行為のことである。どの程度まで行政の判断(裁量)が認められるかが、重大な...