企業の背景
1962年から1971年までの間に、IBMは売上高と純利益額、利益率を向上させてきた。しかしながら、シェアに関しては1964年の75%から1971年には70%にまで落ち込んでいる。
<事業経営の担い手>
IBMの事業経営を担っていたのが、経営審査委員会である。この複数の取締役から構成される経営審査委員会が事業の重要な方針や経営上の問題に関する最終的な意思決定を行っていたのである。
この経営審査委員会は、重要な問題の指摘を行い、時としてタスクフォースの設置を指示していた。しかし、そのタスクフォースの決定を覆し、自らが意思決定を行う中央集権的な側面も持っていた。
IBMのマーケティングメソッド
IBMは、システム全体を一括して販売する企業として自社を位置付けた。そうした販売を行う手法としてIBMが採用したのは、リース契約である。このリース契約を行うことの顧客にとっての利点は、古いシステムから新しいシステムへと乗り換えが容易であることである。この容易性によって、新システムが販売された際に、その新システムが価格性能比で割安であれば、顧客はコストダウンを達成するために新シス...