第2章:価格設定の経済
この章では、
(1)価格設定の伝統的な新古典主義経済学の概略
(2)実践的な価格設定の有用な概念の輪郭
を示す。
理論上の価格設定
私たちの経済において、価格設定は営利・非営利団体を問わず多くの企業で行われている。そういった価格設定は伝統的な経済理論の決定プロセスとは異なる。伝統的な経済理論はどの生産方式を使い、望ましい製品を生産するためにどの程度の投入をすればいいのか、ということを教えてくれるものとして利用するべきなのである。
経済理論は集団や市場の動向、特に行動の継続と広がりがどのように“均衡”へと帰結していくのかについて関心があるのである。この経済理論は企業を価格受容者としてみており、経営者が生産量を決めると市場が供給と需要の力によって価格を決めると考えている。
そのため、市場に基づいた価格設定の原則を発展させるにあたり、経済学の概念や方法論、仮定をうのみにしてはいけないのである。
利益を最大化する企業
価格が一定であるとすると、一単位あたりの売上高が一単位あたりの生産・販売コストよりも大きいかぎり、利益を最大化しようとす...