若者の今と昔ー戦後における学生運動を通して考えるー

閲覧数2,614
ダウンロード数18
履歴確認

    • ページ数 : 9ページ
    • 会員1,430円 | 非会員1,716円

    資料紹介

    はじめに
    若者はいつの時代も、特異な存在として扱われてきた。多くの大人たちは二言目には「最近の若者は・・」とか「自分が若い頃はこんな風じゃなかった」とぼやき、若者の特異性を強調する。時代の流れの中で見ても大人たちは“ノンポリ(政治的無関心)”、“三無主義”(1)、“新人類”(2)などといった言葉で若者を形容し、自分たちとは引き離して扱ってきた。しかしながら、そういう大人たち自身も嘗ては若者だったはずである。それなのに何故、若者を特別視したがるのか。もしかしたら昔の若者のあり方と、今の若者のそれとには何か大きな違いがあるのではないか。この論文を作成するに到った経緯にはそんな疑問が始点として存在した。
    そして今回、私が嘗ての若者たちの代表としてスポットを当てたのは、60年代を生きた若者たちである。彼らの青春は、1960~75年に一世を風靡した学生運動無しには語れないだろう。当時の様子を記憶した映像の中の彼らは、ヘルメットにゲバ棒(3)で完全装備し、機動隊に火炎瓶を投げるなど、時として過激である。私は戦後の若者に焦点を定め、60年代、70年代、80年代と順をおって調査したが、60年代の若者のあり方には何か特別な匂いを感じた。果たして自分という一個人の感情を今時の若者全体の感情と同一視することに不正確さが無いかと言えば、正直なところあまり自信が無い。しかし映像の中に見た当時の若者と、今の若者との間には、確かな温度差が存在しているように思えてならないのである。この論文内ではその温度差を温めていこうと思う。
    第一章「若者とは何か」
    若者を扱うにあたり、まず若者とは一体どのような集団のことを指すのかを定義付けたい。一般に「若者」と言えば、児童期と成人期との中間にある「青年期」に位置する人々のことを指す。しかし近年ではその青年期という言葉の指す時期が、従来のものと違って曖昧である為、「若者」という存在をより明確にするためにも、更に詳しく定義づける必要があると言えるだろう。そもそも若者が位置する青年期とは、一体何なのか。福島明著、「青年期の心」によれば
    「心理学や医学でいう青年期(adolescence)とは、思春期の発来にはじまり、彼らが社会的な自立をとげておとなに仲間入りするまでの期間であると定義する。思春期は青年期の一部であるが、青年期の前半の部分に位置することになる。この思春期では、身体的な変化が大きな役割を演じる。一方、青年期も後半に達し、身体的には男らしい体格や女らしい体格が完成し、骨端線も閉鎖して生長も停止すると、身体的変化はほぼ終了する。しかし、心理=社会的にはまだ変化と成長を続けていて、心理的には不安定な状態にある。完全にはおとなとはいえないこのような青年後期の人々を、とくに若者、ユース(youth)、ヤング(young)などと呼ぶ。(4)」
    と説明されている。つまり現代の状況下で青年期と若者とをそのまま結び付けようとすると、少なからずズレが生じてしまうことになる。具体的に言えば、青年期の終わりである「社会的、心理的な自立」が高学歴化、晩婚化、管理社会化(5)などにより、どんどん引き伸ばされてしまっている為に「若者=青年期に位置する人々」という式が成り立たなくなってしまったのだ。尚、このことを図にしたのが次の資料である。(6)
    そのようなことを踏まえつつ、若者が指す具体的な年齢として15歳ごろから22歳ごろ、つまり高校入学から大学卒業までにかけてと定めようと思う。ローティーン(13~15歳ごろ)の人々を若者と見なすかどうかについては賛否両論あるだ

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    はじめに
    若者はいつの時代も、特異な存在として扱われてきた。多くの大人たちは二言目には「最近の若者は・・」とか「自分が若い頃はこんな風じゃなかった」とぼやき、若者の特異性を強調する。時代の流れの中で見ても大人たちは“ノンポリ(政治的無関心)”、“三無主義”(1)、“新人類”(2)などといった言葉で若者を形容し、自分たちとは引き離して扱ってきた。しかしながら、そういう大人たち自身も嘗ては若者だったはずである。それなのに何故、若者を特別視したがるのか。もしかしたら昔の若者のあり方と、今の若者のそれとには何か大きな違いがあるのではないか。この論文を作成するに到った経緯にはそんな疑問が始点として存在した。
    そして今回、私が嘗ての若者たちの代表としてスポットを当てたのは、60年代を生きた若者たちである。彼らの青春は、1960~75年に一世を風靡した学生運動無しには語れないだろう。当時の様子を記憶した映像の中の彼らは、ヘルメットにゲバ棒(3)で完全装備し、機動隊に火炎瓶を投げるなど、時として過激である。私は戦後の若者に焦点を定め、60年代、70年代、80年代と順をおって調査したが、60年代の若者の...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。