税法学を端的に規定すれば、税法現象の科学、または租税の法的研究を行う学問といえよう。つまり税法学は法学の一分科である。
税法学の特質は法学の一分科であるが、厳密には言いきれない状況が今日なお存在する。その由縁は、租税現象は様々な社会現象と交錯しており、様々な学問が租税について研究し発言しうる点に存在するとみられる。
租税については政治学からも、社会学からも、心理学からもアプローチしうる。ときに自然科学も看過しえない寄与をなしうる。例えば廃止されたが、かつての物品税法のあり方を考えるうえにおいて物についての科学的知識、つまり商品学の知識が重要な役割を果たす。また法人税法における法人所得の計算上損金項目として固定資産の減価償却費の計上が重要な意味をもつ。減価償却のあり方を考えるうえにおいて、機械などの知識が不可欠である。
このように考えてくると、直接間接多くの学問が租税問題と交渉を持ちうる関係にある。 さまざまな学問が租税問題と交渉をもちうるのであるが、そのなかでももっぱら租税問題を研究する学問として三つの分野が考えられる。租税問題を専門的に研究しうる学問として最小限度三つの分野が存在する...