「法人の人権」
1.法人は人権の享有主体になりうるか。
法人も人権の享有主体となりうると考える。人権の主体は本来自然人でなければならない。しかし、経済社会の発展した現在において、法人は自然人と同じく社会等の構成単位である社会的実在となっている。そして、自然人と同様の義務・負担も負っている。よって、自然人の有する人権についても性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである。
2.会社は、自然人たる国民と同様に、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対する等の政治的行為をなす自由を有するか。
八幡製鉄政治献金事件判決では、「会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。」と判示している。しかし、人権は個人の権利として生成し発展してきたものであるから、それを法人に認めるといっても、限定的に解することが必要である。自然人とだけ結合して考えられる人権たとえば、選挙権、生存権、一定の人身の自由などは法人には保障されないと考えるべきである。さらには、これらの権利は法人の性質によって制限されると考える。法人は自...