「物権的請求権について」
論点
物権的請求件における所有権の範囲と請求権の適用の問題
所有権の所在と責任(費用負担)の問題
判例・学説
物権的請求権は所有者の範囲を法令の制限内に定めている。例えば大判昭10.10.5民集14巻1965頁では所有権の侵害の事実を認めながら、侵害の除去が困難なこと、請求が不当な利益を目的とするものとして権利の濫用との判例が出ている。又、大判昭11.7.17民集15巻1481ページでは、妨害排除がすでに不能であるとし、仮に排除を行った場合に莫大な費用がかかり、社会経済上の損失が大きいことを挙げ、排除請求は不能との判例を出している。これらは所有権とはなにかを示して、さらに請求権のあり方を示した判例である。学説もこれに対しては妥当な判断と考えているようである。
物権的請求権を行使する場合の相手(侵害を起こしている物権所有者)の特定と責任の範囲(費用負担)についてであるが、判例では判例では大判昭12.11.19民集16巻1881頁、最判昭35.6.17民集14巻8号1396頁、最判平6.2.8民集48巻2号373頁の3つの判例を通して、侵害している物権の所有者を特...