債務名義について

閲覧数3,955
ダウンロード数40
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    なぜ強制執行に「債務名義」の存在が必要であるかを明らかにしたうえで、民事執行法22条が定める各号の債務名義につき説明しなさい。
     債務名義とは、一定の給付請求権の存在と範囲を表示した文書で、法律により執行力が認められたものを指す。また、強制執行は債務名義により行うと定められている。(民執22条)
     強制履行は債務名義に表示された内容を基準として進められる。その内容とは、①実現されるべき給付請求権、②当事者(債権者・債務者)③執行対象財産ないし責任の限度(有限責任に場合のみ)である。①の実現されるべき給付請求権とは、強制執行可能なものを指し、強制執行に馴染まないもの(夫婦の同居義務等)は除かれる。
     さらに、執行文の付された正本に基づいて実施するという定め(民執25条)があり、原則、執行文も必要となる。我が国においては判断機関と執行機関が分かれており、債務名義の中には一定の条件が充足されたら具体的な給付義務が発生するといった内容のものもある。その条件が充足された等の判断を執行機関が行うのは不適当であり、執行機関に形式的な判断をさせる必要性がある。よって執行文の付与がされたものでなければならない。
     次に、債務名義の必要性ついて述べる。仮に強制執行可能と思われる請求があった場合において、執行機関がこれを調査・判断すべきとすると、裁判所が判断する場合よりも確実性に問題がある。また、判断を誤れば不当執行になる恐れもあり、これらは裁判所が判断すべきである。すなわち、判断機関と執行機関に分けることにより、それぞれの役割に専念できる。確実性・迅速性を確保することが要求されており、それらの為には執行機関は執行力の存否を形式的に判断する必要性があり、債務名義が必要となる。
     債務名義の種類は様々なものがあるが、それらを分類すると裁判書型、調書型、契約書型に分けることができる。
     まず、裁判書型について述べる。
     最も代表的な形として、給付判決である。これは、裁判所において給付判決に限り、形式的確定したものが債務名義となる。(民執22条1号、以下22条は省略)
     そして、給付判決が未確定であっても仮執行宣言が付された場合にも債務名義となる。(2号)仮執行宣言付判決に対して上訴が提起されても、執行を当然に防ぐことはできないが、上訴審は一定の要件の下で強制執行の停止・取消し等の措置をとることができる。(民訴398条1項2号~5号)これによって、敗訴者は上訴による審級を図りつつ、勝訴者の早期満足を図ることができる。
     次に、抗告によらなければ不服を申立てのできない裁判がある。(3号)これは、決定・命令でその性質上抗告できるもので(現実的には裁判所法7条により抗告できないとされる高等裁判所、最高裁判所の裁判を含む)強制的実現に馴染む給付請求権を表示されているものを指し、債務名義として認められる。これは判決ではないが裁判過程を経ており、裁判書型に分類できる。
     さらに、確定した執行判決のある外国裁判所の判決(6号)は、一定の要件を備えているものは日本においても効力を認められる。(民訴118条)しかし、強制執行するにはこの要件をあらかじめ通常の訴訟手続で確定し、強制執行を許す旨の判決が必要である。すなわち外国裁判所の判決をそのまま強制執行によると日本の法制度に適合しない場合もあり、その点の判断を外国裁判所や執行機関がなすのは妥当でない。よって、外国判決と執行判決が合体して1つの債務名義をなる。
     また、これに関連して、確定した執行決定のある仲裁判断(6号の2)がある。これら訴訟

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    なぜ強制執行に「債務名義」の存在が必要であるかを明らかにしたうえで、民事執行法22条が定める各号の債務名義につき説明しなさい。
     債務名義とは、一定の給付請求権の存在と範囲を表示した文書で、法律により執行力が認められたものを指す。また、強制執行は債務名義により行うと定められている。(民執22条)
     強制履行は債務名義に表示された内容を基準として進められる。その内容とは、①実現されるべき給付請求権、②当事者(債権者・債務者)③執行対象財産ないし責任の限度(有限責任に場合のみ)である。①の実現されるべき給付請求権とは、強制執行可能なものを指し、強制執行に馴染まないもの(夫婦の同居義務等)は除かれる。
     さらに、執行文の付された正本に基づいて実施するという定め(民執25条)があり、原則、執行文も必要となる。我が国においては判断機関と執行機関が分かれており、債務名義の中には一定の条件が充足されたら具体的な給付義務が発生するといった内容のものもある。その条件が充足された等の判断を執行機関が行うのは不適当であり、執行機関に形式的な判断をさせる必要性がある。よって執行文の付与がされたものでなければな...

    コメント1件

    fuurinkazan 購入
    大変助かりました。ありがとうございます。
    2007/05/12 15:22 (17年6ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。