混合溶液からの 3 成分抽出
<1.緒言>
本実験の目的は、混合溶液から目的物質を分離、精製、同定をしていき、その過程にお
いて用いられる抽出、ろ過、再結晶、融点測定、TLC分析、IRの測定などの合成実験
における基本操作を習得することである。
今回の実験では、アニリン、安息香酸、ベンゾフェノンの3種類の化合物が含まれた混
合溶液からその3成分を抽出分離し、精製を行いながら最終的にはアセトアニリド、安息
香酸、ベンゾフェノンの結晶をそれぞれ取り出す。TLC で分離がされているのかを確認し、
得られた結晶が目的の化合物であるかを融点測定と IR で確認する。
3成分の抽出分離についてだが、安息香酸は炭酸ナトリウム水溶液を加えることにより
抽出し、アニリンは塩酸と反応させることにより抽出する。
COOH
Na2CO3
COONa
NH
2 NH3Cl
O H
2 CO
2 + 2 + + 2
+ HCl
また、アセトアニリドの結晶は、アニリンと無水酢酸を反応させることにより得ること
ができる。
NH
2 NHCOCH
3
++ (CH3CO)2O + CH3COOH
<2.実験操作と結果>
(Ⅰ)3 成分の分離と TLC による検出
アニリン(1g)、ベンゾフェノン(2g)、安息香酸(1.5g)を含むエーテル溶液 25ml を
100ml 分液漏斗に入れ、2Mの塩酸 8ml で3回抽出した。分液漏斗中の溶液は2つの層に分
かれ、上層には比重の小さいエーテル層(ジエチルエーテル)、下層には比重の大きい水層
(塩酸層)ができた。この時点で、上記の反応式から分かるようにアニリンが塩酸と反応
してアニリン塩酸塩となって分離されたことがわかる。この塩酸層は 100ml のマイヤーフ
ラスコに入れておいた。
エーテル層は、残っている塩酸を取り除くため 10ml の水で 2 回洗い、水層は廃液溜に廃
棄した。ここで、このエーテル層の TLC(TLC‐1)をとった。
次に、エーテル溶液を 10%の炭酸ナトリウム水溶液 8ml で 3 回抽出した。ここでも2つ
の層にわかれ、比重から上層にはエーテル層、下層には水層(炭酸ナトリウム水溶液)が
あることがわかった。ここでは、安息香酸が炭酸ナトリウム水溶液と反応して安息香酸ナ
トリウムになり、エーテル層から分離されたと考えられる。この炭酸ナトリウム水溶液層
は 100ml のマイヤーフラスコに集めて、TLC(TLC‐2)をとった。
残ったエーテル層は 10ml の水で2回洗い、50ml のマイヤーフラスコに移しかえ、乾燥
させるため無水硫酸ナトリウムを 2.00g 入れた。ここで TLC(TLC‐3)をとった。
0.5cm
TLC-1 TLC-2 TLC-3
4cm
2.0cm
0.6cm
0cm
2.2cm
①
②
③
④
各スポット(①~④)の移動率(Rf値)は以下のような結果になった。
①Rf値=0.5 ②Rf値=0.15 ③Rf値=0 ④Rf値=0.55
尚、Rf値は「原点からスポット中心までの距離/原点から展開溶媒先端までの距離」で計算
した。
①、②はベンゾフェノンか安息香酸を示しているが、①と④の Rf値がほとんど同じこと
から、①の方がベンゾフェノンであると考えられる。それにより②は残っている安息香酸
であると判断できるだろう。③のスポットはまったく移動しなかったわけだが、安息香酸
のスポット(②の位置)が消えていることから、これは安息香酸の塩を示している
混合溶液からの 3 成分抽出
<1.緒言>
本実験の目的は、混合溶液から目的物質を分離、精製、同定をしていき、その過程にお
いて用いられる抽出、ろ過、再結晶、融点測定、TLC分析、IRの測定などの合成実験
における基本操作を習得することである。
今回の実験では、アニリン、安息香酸、ベンゾフェノンの3種類の化合物が含まれた混
合溶液からその3成分を抽出分離し、精製を行いながら最終的にはアセトアニリド、安息
香酸、ベンゾフェノンの結晶をそれぞれ取り出す。TLC で分離がされているのかを確認し、
得られた結晶が目的の化合物であるかを融点測定と IR で確認する。
3成分の抽出分離についてだが、安息香酸は炭酸ナトリウム水溶液を加えることにより
抽出し、アニリンは塩酸と反応させることにより抽出する。
COOH
Na2CO3
COONa
NH
2 NH3Cl
O H
2 CO
2 + 2 + + 2
+ HCl
また、アセトアニリドの結晶は、アニリンと無水酢酸を反応させることにより得ること
ができる。
NH
2 NHCOCH
3
++ (CH3CO)2O + CH3COOH
<2.実験...