SN2 反応 1-ブロモブタンの合成
<1.緒言>
有機化学反応において最も基本的な反応様式である置換反応の内、脂肪族求核置換反応
である SN2 反応を行う。本実験では、硫酸の存在下でブタノールと臭化ナトリウムを SN2
置換で反応させ、1-ブロモブタンを合成する。
CH
3CH
2CH
2CH
2OH CH
3CH
2CH
2CH
2Br NaHSO
4 O H2
NaBr
H2SO4
+ +
実験の最後には、生成物中のハロゲンの存在を確認するために Beilstein testを行い、収
率も求めてその結果について考察していく。
反応機構に関しては、以下の図のように、まずブタノールを硫酸でプロトン化し、求核
置換を受けやすくする。次に、臭化ナトリウムから生じた臭化物イオンが炭素を求核攻撃
し、1-ブロモブタンが生成する。副生成物としては、硫酸水素ナトリウムと水が生成する。
CH
3CH
2CH
2CH
2OH H HSO
4 Na Br
HSO
4
O
+
H
H
H
CH
3CH
2CH
2
H
Br
CH
2CH
2CH
3
H
H
NaHSO
4
O H
2
+
+ +
<2.試料・試薬の物性>
M (g/mol) mp(℃) bp(℃) d(g/cm3) 性質・形状など
ブタノール 74.1 -89.53 117 0.81 無色液体、水に微溶、引火性
臭化ナトリウム 102 755 1390 3.20 水に可溶
濃硫酸 98.0 3.0 322 1.84 油状の無色の液体、強い吸湿性
脱水作用
1-ブロモブタン 137.02 -112.3 101.6 1.276 無色透明の液体、水に難溶
硫酸水素ナトリウム 120.1 186 - 2.74
塩化カルシウム 110.9 772 - 2.15 潮解性あり
<3.実験操作と結果>
臭化ナトリウム 13.3 g(130 mmol)と水 15ml を回転子が入った 100 ml のナスフラスコに
入れ、ひき続いてブタノールを 10 ml(110 mmol)加えた。氷浴中で撹拌したが、固体はかた
まってすべて溶け切らずに残っていた。そのナスフラスコにパスツールピペットを用いて、
濃硫酸 11.5 ml(215mmol)を3分かけて少しずつ加えていった。この操作の際にも、氷欲中
で撹拌を続け、硫酸を加えたときには白煙のようなものが生じ、最終的には白濁した粘度
のある液体となった。
硫酸をすべて加えた後に還流を行った。オイルバスの温度が 95 ℃になった時点で液体は
無色透明になり、それから 5 分後、115 ℃になった時点で液体が沸騰し始めた。オイルバ
スが 130 ℃で安定してから、45 分間還流を続けた。還流後、5 分間放冷すると液層が 2 つ
にわかれているのが確認できた。上層がブロモブタンで、下層が比重の高い無機塩の水溶
液、つまり炭酸水素ナトリウムを含む水溶液であると判断した。
次に蒸留装置を組んで蒸留を行った。オイルバスの温度が 115 ℃になった時点で、マイ
ヤーフラスコ(100 ml)に蒸留液がたまり始めた。蒸留を開始してから 35 分後には、蒸気が
発生していなかったので蒸留を終了した。たまった蒸留液は少し白濁していた。
この蒸留液を分液漏斗に移し、水 10 ml で抽出した。密度のデータより、上層は水層で
下層がブロモブタンであると判断した。上層の水溶液は廃棄し、下層を乾燥した 50 ml の
マイヤーフラスコに移した。再びこの溶液を乾燥し
SN2 反応 1-ブロモブタンの合成
<1.緒言>
有機化学反応において最も基本的な反応様式である置換反応の内、脂肪族求核置換反応
である SN2 反応を行う。本実験では、硫酸の存在下でブタノールと臭化ナトリウムを SN2
置換で反応させ、1-ブロモブタンを合成する。
CH
3CH
2CH
2CH
2OH CH
3CH
2CH
2CH
2Br NaHSO
4 O H2
NaBr
H2SO4
+ +
実験の最後には、生成物中のハロゲンの存在を確認するために Beilstein testを行い、収
率も求めてその結果について考察していく。
反応機構に関しては、以下の図のように、まずブタノールを硫酸でプロトン化し、求核
置換を受けやすくする。次に、臭化ナトリウムから生じた臭化物イオンが炭素を求核攻撃
し、1-ブロモブタンが生成する。副生成物としては、硫酸水素ナトリウムと水が生成する。
CH
3CH
2CH
2CH
2OH H HSO
4 Na Br
HSO
4
O
+
H
H
H
CH
3CH
2CH
2
H
Br
CH
2CH
2CH
3
H
H
NaHSO
4
O H
2
+
...