法制史レポート『死刑制度と命の尊厳』
死刑は人間の生命を奪い去り、その全ての存在を未来永劫に消去することを目的とする刑罰である。従って、死刑制度はいつの時代においても、その存在意義が問われてきた。
それは「人を殺すな」という規範と対立し、人道主義と対立した。今日、この死刑制度の合理性、正当性が再検討されようとしている。言うまでもなく、死刑の問題が人間の生命に直接に関わりのある重要な問題であり、法律や刑事政策のみならず、人の生命の価値観念に連なる極めて理論的かつ実践的な問題であることは明らかである。
現在、正解のほぼ半分にあたる国が死刑制度を廃止している。日本は死刑制度の残る数少ない先進国の一...