IT民主化を目指してエンタープライズでも始まった「デル革命」
2004年、国内PCサーバ市場でNECと激しい首位争いを演じたデル。100万円を切るSANストレージも投入するなど、「デル革命」はエンタープライズでも激しさを増す。日本の会社を容赦のない世界規模の競争が襲うが、「残念ながらその多くは21世紀型の企業になっていない。ライフワークとして、彼らの競争力再生に関わりたい」とデルの浜田氏は話す。
ITmedia 2004年はどんな年でしたか。
浜田 夏にEM64T対応のXeonによってサーバのラインアップを一新し、また、100万円を切るDell|EMCブランドのSAN(Storage Area Network)ストレージ、「AX 100」も投入しました。これはSANにおいてもデルモデルを展開していく戦略的な製品です。 一方、プロフェッショナルサービスの事業も好調を維持し、売り上げは前年同期比で倍増しています。だれでも知ってる大企業をはじめ、何百という顧客がIAへ移行するのを支援した年でした。
デファクトスタンダードの技術を使い、スケールアウトでシステムを拡張できるDellのアプローチは、顧客の実力やビジネスの規模に応じたIT投資を可能とします。 史上最速の急成長を続けるデルは、自ら自社製品の実証の場になっている。「ITシステムはデルの企業戦略そのもの」と浜田氏
逆にスケールアップは、最初に数兆円もする大きなシステムを導入し、その後の企業規模の拡大に対応していくというものです。しかし、実態はCPUリソースの15〜20%程度しか利用されず、投資が十分に生かされていません。
スケールアウトならば、標準技術をベースとしてサーバやストレージをビジネスの拡大やトランザクションの増加に合わせて追加するアプローチでシステムを拡張できます。ユーザー企業にコスト面の優位性という直接的なメリットをもたらすだけでなく、IT投資を固定化しないので柔軟性ある戦略的なIT投資が可能になります。
さらに言えば、それぞれの時点で最新の技術を搭載したサーバやストレージを導入できるメリットや、常にビジネスとの整合性を取りながらIT投資を進められるといったメリットもあります。
2004年は、エンタープライズ市場における新たなデル革命が始まった年と言えるでしょう。
大半の企業システムは「フランケンシュタイン状態」
ITmedia しかし、よく日本は「メインフレーム大国」と揶揄されます。「オフコン」というレガシーシステムもたくさん稼動しています。
浜田 残念ですが、多くの日本の会社は、まだ21世紀型の企業になっていません。ITをCEOレベルで理解して戦略的な投資を行ってこなかったからです。ここへ来て、彼らは子会社を統合整理するなど、その事業の再構築や再編を迫られているのですが、30年から40年も前からつぎはぎで構築してきた情報システムがそれに対応できないでいます。まさに「フランケンシュタイン状態」と言っていいでしょう。
ある会社は、昭和40年代から同じベンダーのメインフレームを2年から3年ごとに更新し続けていましたが、デルのIAサーバに移行してもらい、われわれはITのパラダイムシフトをお手伝いできました。より速く、安く、フレキシブルで、接続性のあるシステムに革新することができたのです。
ITmedia 彼らがIAサーバへの移行に踏み切った背景には何があったのでしょうか。
浜田 一般にIT関連支出の7〜8割は既存システムの維持・運用に費やされているのが現状です。戦略的な投資は
IT民主化を目指してエンタープライズでも始まった「デル革命」
2004年、国内PCサーバ市場でNECと激しい首位争いを演じたデル。100万円を切るSANストレージも投入するなど、「デル革命」はエンタープライズでも激しさを増す。日本の会社を容赦のない世界規模の競争が襲うが、「残念ながらその多くは21世紀型の企業になっていない。ライフワークとして、彼らの競争力再生に関わりたい」とデルの浜田氏は話す。
ITmedia 2004年はどんな年でしたか。
浜田 夏にEM64T対応のXeonによってサーバのラインアップを一新し、また、100万円を切るDell|EMCブランドのSAN(Storage Area Network)ストレージ、「AX 100」も投入しました。これはSANにおいてもデルモデルを展開していく戦略的な製品です。 一方、プロフェッショナルサービスの事業も好調を維持し、売り上げは前年同期比で倍増しています。だれでも知ってる大企業をはじめ、何百という顧客がIAへ移行するのを支援した年でした。
デファクトスタンダードの技術を使い、スケールアウトでシステムを拡張できるDellのアプローチは、顧客の実力やビジネスの規模に応じたIT投資を可能とします。 史上最速の急成長を続けるデルは、自ら自社製品の実証の場になっている。「ITシステムはデルの企業戦略そのもの」と浜田氏
逆にスケールアップは、最初に数兆円もする大きなシステムを導入し、その後の企業規模の拡大に対応していくというものです。しかし、実態はCPUリソースの15〜20%程度しか利用されず、投資が十分に生かされていません。
スケールアウトならば、標準技術をベースとしてサーバやストレージをビジネスの拡大やトランザクションの増加に合わせて追加するアプローチでシステムを拡張できます。ユーザー企業にコスト面の優位性という直接的なメリットをもたらすだけでなく、IT投資を固定化しないので柔軟性ある戦略的なIT投資が可能になります。
さらに言えば、それぞれの時点で最新の技術を搭載したサーバやストレージを導入できるメリットや、常にビジネスとの整合性を取りながらIT投資を進められるといったメリットもあります。
2004年は、エンタープライズ市場における新たなデル革命が始まった年と言えるでしょう。
大半の企業システムは「フランケンシュタイン状態」
ITmedia しかし、よく日本は「メインフレーム大国」と揶揄されます。「オフコン」というレガシーシステムもたくさん稼動しています。
浜田 残念ですが、多くの日本の会社は、まだ21世紀型の企業になっていません。ITをCEOレベルで理解して戦略的な投資を行ってこなかったからです。ここへ来て、彼らは子会社を統合整理するなど、その事業の再構築や再編を迫られているのですが、30年から40年も前からつぎはぎで構築してきた情報システムがそれに対応できないでいます。まさに「フランケンシュタイン状態」と言っていいでしょう。
ある会社は、昭和40年代から同じベンダーのメインフレームを2年から3年ごとに更新し続けていましたが、デルのIAサーバに移行してもらい、われわれはITのパラダイムシフトをお手伝いできました。より速く、安く、フレキシブルで、接続性のあるシステムに革新することができたのです。
ITmedia 彼らがIAサーバへの移行に踏み切った背景には何があったのでしょうか。
浜田 一般にIT関連支出の7〜8割は既存システムの維持・運用に費やされているのが現状です。戦略的な投資は2〜3割に過ぎません。IT予算が10億円だとすれば、戦略投資はわずか2億円です。これでは21世紀を勝ち抜けません。
今や5兆円企業となったDellですが、システムはすべて自社製品によって構築されています。これによってデファクトスタンダードとスケールアウトの恩恵を受け、IT関連支出の7割を戦略投資に回すことができています。史上最速とも言えるDellの急成長を支えたのがオープンな標準技術なのです。
ITmedia デファクストスタンダードにフォーカスする唯一のベンダーとして、標準技術のメリットを教えてください。
浜田 独自技術というのは、一度導入するとそのベンダーに依存しなければならなくなります。トラブルが発生してもそうですし、システムを拡張する場合もそうです。そのため、多くの独自技術は姿を消しています。
これに対して、標準化された技術は、だれでもそれをベースとした製品を開発できるため、ユーザーは幅広い選択肢の中から優れた製品を選べばいいわけです。気に入らなければ、乗り換えることもできます。「メーカー主導」「メーカーの呪縛」から解き放たれ、「ユーザー主導」で「ITの民主化」が実現できるはずです。
私はDellというメーカーの立場を離れ、浜田個人のライフワークとして、日本の会社の競争力再生に関わりたいと願っています。
勝ち抜くにはITの民主化が不可欠
ITmedia しかし、「革命」は痛みや時には流血も伴うものです。
浜田 企業は限られた予算から最も効果の高い投資を行わなければなりません。自社はIT予算10億円のうち戦略投資はわずか2億円だが、隣の会社は逆に8億円を新規開発に投じているとなれば、自ずと答えは出ます。ただ、企業の基幹システムではオープン化への移行のリスクはゼロにし、流血は避けなければなりません。そのためにDellのプロフェッショナルサービスがあるのです。
これまでのように日本の会社が手に手を取って横並びでやってきた時代は良かったのですが、今や外資系企業がどんどん日本市場に参入し、競争が激しさを増しています。流通業界を例にとってみても、ウォルマートやカルフールが参入し、市場を変えようとしています。日本の金融機関からホテルやゴルフ場まで、外資によって買われる時代です。日本のPCの5台に1台がデルになるなんてだれが予想しましたか?
毎日、道場破りがやってくると考えればいいでしょう。勝ち抜くにはITの民主化を図り、自らITコストを管理し、競争力を高めるしかありません。
ITmedia 情報システム部門で働く大半の人たちは、現在稼動しているレガシーシステムを使い続けたいと考えるのではないでしょうか。
浜田 私が企業を訪ねる場合、大抵、時間をいただけるのですから、何かしら悩みを抱えていますし、ほとんどの経営層は高い見識を持っています。
しかし、情報システム部門の現場にはオープンシステムに関する知識やスキルが不足しています。そこで、コンサルタントから、オープンシステムの恩恵や、それが会社にどう貢献できるのかを説いていきます。より多くのIT関連支出を新規開発に回せるとすれば、前向きに取り組んでくれるはずです。
営業やマーケティングの人もそうです。リアルタイムで顧客に関する情報が得られれば、仕事も変わります。経理の人も決算が1/5の時間でできるのであれば歓迎してくれるでしょう。
だれでも自分の会社の業績が改善され、世界規模の競争にも負けないことを望んでいるはずです。そのためには、ムダを省き、会社を筋肉質に変えることが必要です。ITはそのための武器なのです。
情報提供先 -> http://www.itmedia.co.jp/enterprise/special/0501/interview/dell.html