3-8運動量保存則だけでは不完全

閲覧数1,458
ダウンロード数13
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    タグ

    資料の原本内容

    運動量保存則だけでは不完全?
    運動量保存則だけではすべてを説明できない
    運動量保存則の欠陥
     前の記事で、角運動量保存則は運動量保存則から導かれる定理であるという内容のことを言ったが、完全にそうは言えないことを説明しよう。 運動量保存則が成り立っているにも関わらず、角運動量保存則を満たしていない事例がある。
     例えば、2つの質点が左右に離れて並んでおり、静止しているとしよう。 そしてこの2つの質点の間に運動量が交換されて、一方が上方へもう一方が下方へ進み始めたらどうであろうか? 奇妙な感じがするが、これは運動量保存則を満たしているのである。  この時にもしこの2つの質点を棒でつないでおいたら、この棒は何もしないのにくるくる勝手に回り始めることになるだろう。 角運動量保存則が成り立っていないことになってしまう。
     もしこのような形の運動量の交換が許されているならば世の中のあらゆる物体が激しく回転運動を始めるに違いない。 しかし実際にはこのような運動量の交換は起こっていない。 つまり、運動量保存則は運動量の交換についてすべてを言い表せていないのである。 だからと言って、やっぱり角運動量保存則も必要なんだ、と安易に結論付けてはいけない。
     運動量保存則をちょっと改造するだけで、このような奇妙な現象が起きるのを防ぐことが出来るのである。 それは「運動量の交換は、お互いを結ぶ直線上で行われるべし」という条件を付加することである。 これだけで角運動量保存則と同じことが言えるようになるのであるから、角運動量保存則が運動量保存則と本質的に違う点は実はこれだけなのである。
    ニュートンの第3法則
     ニュートンの第3法則は「作用・反作用の法則」である。 他のものに力を加えた物体は、同じ大きさの反対向きの力を受けるという内容の法則である。  しかし今見たように、離れて働く力の場合には、これだけでは角運動量保存則を満たせないことが分かる。 角運動量保存則を満たすためには、先ほどと同じように、「ただし、作用・反作用はお互いを結ぶ直線上にのみ働く」という一文をニュートンの第3法則に組み入れなければならない。
     そのように書いてある教科書もあるし、書いてない教科書もある。 しかしこれは必要だ。 こうすることによって、ニュートンの3つの運動の法則はニュートン力学の全てを言い表せる法則であり続けることが出来るのである。
    もう一つの解決法
     しかし、私の意見を言わせてもらえば、ニュートンの第3番目の法則に「ただし・・・」とつけるのはどうにもみっともなく思えるのである。 なぜなら、これは法則に例外を設ける行為であって、なぜそのような例外が存在するのかという説明が不十分だからである。 そのようなものを運動の基本法則と呼ぶのは受け入れがたい。
     しかし、例外条件を外す方法がある。 全ての遠隔力を否定すればいいのである。 運動量の交換がいつも一点で行われるということを認めるならば、つまり離れて働く力などないということにすれば、この但し書きはなくてもよい。
     実際、素粒子論では離れて働く電磁気力や核力なども、間に交換される粒子によって運動量が交換されるとして説明しているのであって、この考えはそれほど大胆なものではないはずである。
     しかし、私はこれによって少々大胆な予測を展開したいと思っている。 これまで、エネルギーや角運動量について考えてきたが、結局この宇宙に存在するのは「運動量」だけなのではないか、という考えである。 これについては、力学のまとめの中で詳しく語ろうと思う。
    資料提供先→  http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/incomplete.html

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。