会社法 第三者割当てにおける新株発行差止請求・議決権行使における利益供与・代表訴訟・取締役の責任
第1(1)について
1.本件新株発行の差止請求について
SはX社の主要株主であるところ、本件新株発行は34万株をR社に割り当てる第三者割当てであり、発行済株式54万株と比べてもSの持株比率を大幅に低下させることは明らかであり、株主Sは不利益を受けるおそれが確実にある。(210条柱書)では、本件新株発行が著しく不公正であることを理由に差止め(210条2号)を求めることができるか。
2.著しく不公正な方法とは
ここでいう不公正発行とは、不当目的をもって新株発行する場合をいい、複数の目的を持って行われる場合は、発行の主要目的は何であるかを決する必要がある。一方で、そもそも株式発行差止請求権は不公正な新株発行によって、不利益を受ける株主自身の利益保護のための制度であり、新株発行によって株主側が受ける不利益についても考慮する必要があると考える。
よって、著しく不公正な方法か否かは、本件新株発行が終局的に株主の利益保護といえるか否かによって決するべきであり、その主要目的が発行を正当化させるだけの合理的...