肩関節脱臼についての概要をまとめたもの
肩関節脱臼 教科書P389~391
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〈概念〉
肩関節は人間の関節の中では、最も脱臼しやすい関節で、その理由としては肩関節が体の表面の突出した部分にあること、骨頭の大きさが肩甲骨関節窩の約3~4倍もあること、しかも各方面に広い運動性を持っていること、肩関節自身にはある程度のゆがみがあって、関節包は薄くたるみ、周囲の靭帯も比較的弛緩して弱く、したがって、関節の固定が筋肉に依存していることなどがあげられる。先天性のものと後天性のものとに分類することができるが、先天性のものは非常にまれである。後天性は外傷性と非外傷性に分類されるが、前に記したような解剖学的特殊性と体表面に近く、外傷を受けやすいことなどが重なり、全脱臼の50%が外傷性であるといわれている。これは、よく経験するものであるが、スポーツなどを好む強健男子に多く、小児には少ない。なかでも前方脱臼がほとんどでこれには烏口下脱臼と鎖骨下脱臼とがあり、前者が全肩関節脱臼の97.5%と最も発生する頻度の高いものである。(文献1.3.5)
脱臼は、外傷によって脱臼する外傷性脱臼と外傷に関係のない非外傷性脱臼、例えば先天性脱臼、随...