キングダンの「政策の窓モデル」による改正少年法の政策過程分析
「問題の流れ」、「政策の流れ」、「政治の流れ」といった3つの個別に存在する流れが合流したとき、それが政策起業家にアジェンダとして認識され、政策形成なされるというキングダンの「政策の窓モデル」を用い、改正少年法が2000年11月に国会において可決され、翌4月に施行されるにいたるまでの過程を分析する。
この改正によって刑事処分の対象年齢が⒗歳から14歳に引き下げられ、また、少年審判に検察官が関われるようになるなどの変更がなされた。
まず、「問題の流れ」であるが、この流れを認識させるのが「出来事・個人的体験」、「フィードバック」、「指標・評価・調査研究」である。今回取り上げた改正少年法についてはとりわけこの「出来事・個人的経験」が与えた影響の比重が大きい。
93年に起きた山形マット死事件では、少年3名が不処分になり、これまでの事実認定のあり方が問われるという形で情報のフィードバックが生じ、少年法改正の声が上がった。さらに97年の神戸児童連続殺傷事件は最も大きな影響を与えた事件といえる。事件の残虐性、特異性は目を見張るものがあるが、...