動画共有サービスの今後

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    動画共有サービスの今後
    ユーザー時間の支配者とは?
    「ユーザーが持つ1日24時間の支配権を取ることが今後のネットビジネスで大切であ
    り、ページビューなどは全く気にしていない」大手動画共有サービスの経営者のコメント
    である。これはまさにメディアビジネスの本質だと感じる。メディアとはコミュニケーシ
    ョンの手段であり、コミュニケーションは生活の中で発生する。そのため、生活に置いて
    どれだけその存在を意識させるかはイコールそのメディアを選択させる事ができるかと言
    うことと等しいため、潜在的に常にチャンネル(ネットならそのサイト)に意識をあわせ
    るようにココロを支配しなくては影響力を保つことができない。その意味に置いて、半分
    以上の支配が出来ないとメディアの影響力を保つためには意味がないと言う話は正しいと
    感じた。
    ただ、ユーザーの時間を分析すると、睡眠時間以外は目的のある(能動的な)時間と無
    い(受動的な)時間の2つに分かれており、ニコニコ動画の視聴のような受動的な時間と
    Google における検索行動の様な能動的な時間は、異なる市場と考えてもよいのではないか
    と考えている。もちろん、現在の時間の使い方を見ると、受動的な時間は映画やテレビ、
    旅行といった趣味の時間が多い一方で、能動的な時間の多くをネットの検索やブラウズに
    利用していることから、ネットにおける市場は Google の様な検索サイトが市場を握ってい
    るかに見えているのは確かである。そのため、今後この状況にシフトが発生し、ネットを
    通じた受動的な時間の提供が今後盛んになり、ユーザーの生活スタイルが変化すれば、講
    演の例であがった電話帳としての Google の役割は小さくなり、結果的に影響力は低下して
    いくという主張は正しい物になるであろう。はたして、そのような未来が訪れるのであろ
    うか?
    ネットコンテンツの将来
    今後もネットコンテンツが無料であるかという点も「結果的に広告費(リアル経済)に
    のみ依存したコンテンツはネット社会の中では良質な物を生まないのでは」という考えを
    お聞きする中で興味深かった。この点については、私は人間の生活が全てネットに置き換
    えることが不可能である以上はある程度のリアル経済からの広告にたいしてコンテンツが
    依存することは仕方がないと感じている。これは所有したり体験したり、食したりするリ
    アルな経験を生活の中心としている人間がネット上の生活をどこまで受け入れるかにより
    今後の状況が変わってくるだろう。
    前段の生活におけるシェアと支配力の関係の話と同様に、ネットの割合が高くなりリア

    ルの割合がライフタイムシェアから減ると人間の社会消費はネットにシフトし、消費市場
    もネットの割合が大きくなる。するとリアル市場から広告収入が減り、コンテンツもネッ
    ト市場内で流通させる事が可能になる一方で無料にし続けることは出来なくなるのかもし
    れない。
    しかし、現実はそうはならないと私は考えている。今後も引き続き仕事も勉強も睡眠も
    現実の世界で行い続ける可能性が極めて高く、人は生活の中で意識的に現在の様なディバ
    イスを通じてネットに繋がっていると意識する機会が相対的に増加するとは考えにくい。
    つまり、実生活にネットがカタチを変えながら入り込むことが増えても、現在の PC などに
    依存したネット社会に実生活がこれ以上入り込むことは少なくなっていくのではないかと
    考えている。この結果、今のネット社会が提供している PC や携帯電話といったディバイス
    越しで提供されるネットワークの市場やサービスそのモノがいずれ古くなって行くのでは
    無いだろうか。
    どこでもネットサービスが提供できるユビキタス社会に置いて、リアルな生活リズムに
    ネットサービスが飲み込まれて行く事が想像される中、現在のネット世界に依存した各種
    サービスがどのように生き残れるかが鍵になると理解している。よりリアルな日常生活に
    対応したサービスを通じて「ディバイスなど物理的な制約にとらわれているネットっぽさ」
    を消してしまう事こそが最終的なメディアの姿であり、これからのメディアを担う人材は
    その架け橋となる必要があるのでは無いだろうか?

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