地球規模問題が国際関係に与える影響、国際関係が地球規模問題についてどのように対応するかなどの視点から考える。
途上国の貧困の削減は、人道的な見地から戦後の開発援助のおもな目的となってきたが、近年、先進国が途上国の貧困削減に取り組むことについてのより確かな根拠として、貧困問題を地球規模の課題として位置づける議論が活発である。地球規模の課題とは、その問題を放置すれば世界全体に影響が及ぶ恐れがあるため、国際的な協力体制のもとで対策に当たる必要がある問題である。代表的なものとして、地球温暖化などの環境問題、人口爆発、紛争・難民、エイズをはじめとする新たな感染症などが挙げられる。地球上に住むかぎり、だれしも地球温暖化の影響から逃れることはできない。人口が爆発的に増加すれば自然資源の過剰消費などをもたらし、紛争・難民は世界の安定と秩序を乱す。感染症が世界中で蔓延すれば、その進入を水際で食い止めることも容易ではない。途上国の貧困問題は、じつはこれらの問題と相互に密接に結びついているため、貧困削減は単に人道的な見地からだけではなく、地球規模の問題として国際的に取り組まなければならない。
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