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錯体を使った人工光合成
1.
人工光合成の意義
細胞に必要な有機物のほとんどすべては、光合成によって生産されている。光合成は光に
よって駆動される一連の反応で、大気中の二酸化炭素から有機分子を作り出す。植物と藻類、
それにシアノバクテリアなどの進化した光合成細菌の大部分は、水から得た電子と太陽光の
エネルギーを使って大気中の二酸化炭素を有機化合物に変換している。
これらの生物が水を
分解する際に、大量の気体酸素が大気中に放出され、それが動物はもちろん、植物や細菌の
多くで呼吸に使われている。つまり、太古の光合成細菌が大気に酸素を供給したおかげで、
好気的な代謝をして
ATP
(アデノシン三リン酸)
をつくる生命体の出現が可能になったので
ある。
一方、現代社会では石油や石炭などの化石燃料が大量に消費され、二酸化炭素の排出量は
増加し続けている。その結果、地球温暖化が深刻な社会問題となっている。しかしながら、
生活の快適指向や情報化、モータリゼーション化などの社会の流れは止めることができず、
問題解決のために、環境への負荷が小さい代替エネルギーの研究が盛んに行われている。と
りわけ、
錯体を使った人工光合成
1. 人工光合成の意義
細胞に必要な有機物のほとんどすべては、光合成によって生産されている。光合成は光に
よって駆動される一連の反応で、大気中の二酸化炭素から有機分子を作り出す。植物と藻類、
それにシアノバクテリアなどの進化した光合成細菌の大部分は、水から得た電子と太陽光の
エネルギーを使って大気中の二酸化炭素を有機化合物に変換している。これらの生物が水を
分解する際に、大量の気体酸素が大気中に放出され、それが動物はもちろん、植物や細菌の
多くで呼吸に使われている。つまり、太古の光合成細菌が大気に酸素を供給したおかげで、
好気的な代謝をして ATP(アデノシン三リン酸)をつくる生命体の出現が可能になったので
ある。
一方、現代社会では石油や石炭などの化石燃料が大量に消費され、二酸化炭素の排出量は
増加し続けている。その結果、地球温暖化が深刻な社会問題となっている。しかしながら、
生活の快適指向や情報化、モータリゼーション化などの社会の流れは止めることができず、
問題解決のために、環境への負荷が小さい代替エネルギーの研究が盛んに行われている。と
りわけ、光合成は...