問題1:「統治行為」に裁判所の審査はおよぶか。
統治行為とは、国家機関の行為のうち、高度の政治性を有する行為であって、それについて法
律的判断は可能であっても、高度の政治性という性格ゆえに、裁判所の審査から除外される行為
と解されている。これは、統治行為論または政治問題の法理とよばれている。統治行為が認めら
れるかどうかについては肯定説と否定説とが対立しているが、司法権の範囲に属し、その法律的
判断に服すべきものでありながら、特別の事情があるために、裁判所の審査に適しないとみなさ
れる統治行為をまったく否定することはできないように思われるし、また、実際に統治行為にあ
たる事項が何であるかが明確でないことに鑑みて、司法権が政治的部門との関係や問題の特別の
性格から、みずから裁量的に判断して、司法権の行使を自制遠慮すべき場合を認めてもいいと思
われる。
問題2:法律で規則事項を定めることができるか。また、両者が矛盾した場合の効力はどうなる
か。
法律で規則事項を定めることができるかどうかの問題であるが、憲法は国会を唯一の立法機関
としており、また、憲法第31条の保障は、刑事手続の基本...