『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読んで
本書は、「資本主義の精神」を発端としてそこに歴史的に関係する宗教との比較を論じた、比較宗教社会学的研究である。
本書ではまず、近代の大商工企業における資本所有や経営、高級労働にかかわりをもつプロテスタントの数が総人口における彼らの比率に比べ大きい、という現象へ言及している。この現象は、彼らが比較的有利な財産条件をすでに与えられていることの結果にすぎない部分もある。しかし他方で、以下の事実がある。一つ目に、カトリックの両親が、プロテスタントの両親と比べ、子供に与える高等教育の種類の中で、近代的な技術や商工業を学習する学校を選ぶ比率がはるかに小さいということ。そして、支配的社会層であるか否か、多数者であるか否かに関わらず、プロテスタントは特有な経済的合理主義への愛着を示し、逆にカトリックはそうした愛着を見ることができないということ。以上の点から、この現象は、外面的な歴史的政治的状況だけでなく、各々の信仰の恒久的な内面的特質の中に求められるべきものではないか。
次に、研究の結末に得られるべき資本主義の精神を紐解く。この暫定的な例示として...