労働法と合併

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    合併と労務
    第1 総論
    今回は、以下の2つの角度から考察を行う。
    ①合併に伴い労働条件等を変更するにあたり、法律上設けられている制約。
    ②M&A戦略の一局面として、人事の側面より、合併のシナジーを増加させるために採るべき措置。
    第2 人事統合の法律上の注意点
    一 問題の所在
    合併の法律効果は包括承継(消滅会社のすべての権利義務関係が存続会社に移転する。(会社法2条27号))である。
     すなわち、消滅会社の雇用契約・就業規則・労働協約等は存続会社・新設会社に移転され、その結果、1つの会社に複数の就業形態が存在することとなる。また、労働組合もそのまま残るだけで、労働組合について何らかの手続をとる必要もない(むしろ会社から労組に口出しすることは、労組法違反の不当介入となる恐れがある)。つまり、合併それ自体により労働者に不利益は生じない。
    ただ、1つの会社に複数の就業形態が存在している状態をそのままにしておくのは、事実上の混乱や不公平感を生じるから、労働条件の統一化作業が不可欠となる。この統一化作業において、労働法規による一定の制限が働く。
    ■労働条件が異なるX社(労働条件が悪い)とY社(労働...

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