ドイツにおけるイスラーム女性刺殺事件についての人類学的視点
今回はドイツでおきたイスラーム女性に対する刺殺事件について、「象徴」と「ポストコロニアル」の視点から考える。
事件の概要
2009年7月1日、ドイツのドレステンの裁判所で、イスラーム教徒のエジプト人女性、マルワ・シェルビニさんがが被告人であるドイツ人男性に刺殺され、周囲の人にも切りつける事件が起きた。またこのとき助けに入ろうとした警察官がシェルビニさんの夫を誤射し、意識不明の重態に陥った。
このことの発端になったのは、昨年、息子を連れて児童公園を訪れたシェルビニさんのスカーフ姿を見たドイツ人男性が、「テロリスト」「イスラーム主義者」などとののしったため、シェルビニさんが被害届を出したことである。男は起訴されて罰金刑を言い渡されたが判決を不服として控訴し、1日はその控訴審が開かれていた。
この事件は典型的なヘイトクライムである。ヘイトクライムとは、ある人種、民族、宗教、性愛の有様など、「異なる集団に対する偏見・差別・蔑視」感情などが元で起こされる犯罪行為、とくに暴行、脅迫、殺人などの暴力犯罪を指す。
事件と「象徴」
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