●課題3 法然浄土教思想の特色を述べよ
まず最初に法然浄土教の特質としては、それまでの仏教のあり方に対する批判と、極楽浄土へ向かう唯一の方法として「専修念仏」を挙げたこと、この二点を主に挙げることができる。以下では、それらについて詳しく見ていきたい。 そもそも、法然が浄土宗を起こす以前の平安時代後期頃までの仏教のあり方としては、奈良時代よりはじまる「鎮護国家」の流れと、それに対応した形で国政にかかわる役人や一部の貴族らにのみ仏教が広まっていたのであった。しかし、その後平安末期になるに連れて仏教および仏教界に変化の兆しがみられることになる。平氏政権に対する反発が各地で起こったり、寺院が襲われるなど社会不安が増大する。更に加えて当の寺院も、この時期には(世俗化)の度合いが著しくなっており、仏教の本質そのものが失われているという状況であった。そうした中、社会的には(末法思想)がささやかれるようになり、仏教が国家や貴族中心のものから、徐々に民衆を救済するためのものへと性格を変えていき、念仏を唱えることで(極楽浄土)に行くことができるとする浄土思想が世間的に普及するようになっていったのであった...